げほ みなで囲む食卓、突然ロートが吐血し、手の隙間から溢れる赤い血にその場にいた全員が呆然とした
「お母様っ!」
シュルトもロイもナシードも驚き固まっていた中、シャルロットだけは一目散に駆け寄った。
「だ、大丈夫です」
こふ、と吐血し続けるロートにシャルロット以外の全員が顔を青くし、狼狽える。ロートの口元にシャルロットは自身の服の袖を当て、メイドに医者を呼ぶよう頼んだ。メイドもハッと意識を取り戻し、急いで城内の医者を呼びに行った
数分もすると、バタバタと聞こえる足音ともに白衣を着た医者が入ってきた
「ロート様!」
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あの後、ロートは寝室に運ばれ、医者に寄って診察を受けた。
やはり、魔力欠損と診断された。
小説の中で、聖人の治癒で回復した者はたしかに治ったが、魔力が通らなくなり動かなくなった脚や腕は治らなかった。それまでに治さなければ行けない…
「残念です、シャルロットとロイの入学式を見に行けないだなんて」
メルーデル学園は入学式に毎年学園にメルーデル女王と王が訪れ挨拶をすることになっている。特に今年はシャルロットとロイが入学する日、ロートはずっと楽しみにしていた。
死なせちゃ、ダメだ
「…ロイお兄様」
「な、なに、どうしたの?」
「ロイお兄様は聖人の光の治癒って出来ますか?」
「…いや、まだ出来ないんだ…ごめん…」
「そうですか…大丈夫です、いきなりごめんなさい」
やっぱり聖なる属性を使ってみるしかないのか…?
「シャルロット、貴方、魔力欠損の治し方知っていたのね。」
「書庫にある本に書いてました!」
「まぁ!シャルロットは勉強熱心なのね」
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初めて使う魔法をロートに使うのはリスクが大きすぎた為、枯れた花で試して見ることにした。
「治れ!ふんぬっ」と謎の声を上げ、花に手をかざす
反応無し。
「やっぱり呪文が必要なのかな…小説にそんなのなかったし…!」
「ぐぬぬぬぬぬぬ、でろ〜」
傍から見れば唸りながら枯れた花に手をかざしてるヤバい奴だ。
ぽけ〜としながら、水属性に聖なる属性と書かれていたから、もしかしたら水を通して使う物なのか。と考える
前に、水属性を使おうとしたら、何故か闇属性は使えたが水属性使えなかった。使えなくは無かったが、指先から水がぽたぽた落ちるくらいしか出来なかった。だから御宮 碧が二属性、覚えられのを使って水属性を覚えた。
水を球体状作り、中に花を入れる。
水が揺れ、光が花を包むように光る。
徐々にしわくちゃな花弁は潤いが宿り、まるでプロが育てた花のように美しい姿に戻った。
一先ず無機物は問題ない、と判断した。
これにどういった効果があるのかは分からずまだ不可解なことが多いいが今はロートを救うために使うしか無い。
ギリギリまで効果の安全性を確かめることにした。
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____数日後。
「お母様!」
走り、ロートの寝室に駆け込む。元から少し開いていた扉に手でつかみ、開ける。
「シャルロット?」
「シャルロットも来たのか」
ロートはキョトンとしたままベッドに寝ていた身体を起こし、ナシードは様子を見に来ていたのか、ベッド脇に置かれる椅子に座っていた。
「お母様、まだ脚は動きますか!?」
息を切らしながら、ベッドの脇に膝をつき、ベッドに手を置くシャルロットにロートはまた?を増やした。
「ええ、元々魔力が多いい方なの、まだ動くわ」
「よ、良かった!」
「どうしたの?」
あからさまに安堵しているシャルロットにずっと思っていた質問を問いかける。
「ふぅ…魔力欠損を治します」
「魔力欠損を、治す?」
今日のロートはよく?が浮かぶ。ガタリと音を立て、椅子から立ち上がったナシードが怒りで身体を震わせる。
「勉強したと言っていただろう!?なら分かるはずだっ!」
「ええ、確かに現時点、魔力欠損は聖人の治癒でしか治せません、ですが俺にはそれができます」
真剣な眼差しでロートとナシードを見つめるシャルロットにロートは息を飲んだ。
「…分かりました、シャルロットを信じます。」
「ロート!」
何かを言おうとしたナシードを手で制し、シャルロットに顔を向ける。
「シャルロット、お願いしますね」
「はいっ!」
ロートを包めるほどの大きさの水を出し、ロートをその中に入れる。ナシードから見ればロートを溺れさせたいのかと思うかもしれない行為だが、治療の為だ。
ジワジワ、と生まれた光がロートを包み、淡く消えた。
シャルロットは水を消し、ロートが目を開けるのを待った。
「ど、どうですか?」
成功しててくれ、頼む、そう願い自身の胸に手を当てる。心臓は勢いよく跳ている。
「____…ええ、何だか魔力が吸われている感覚が無くなりました、」
「医者を呼びましょう。」
にこりと微笑み、シャルロットの頭を撫でたロートはその手を上げ、寝室にいたメイドに医者を呼ぶよう言った。
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3話 エンド 12⁄1