テラーノベル
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朝、目が覚めて腰の痛みを少し感じる。そうだ俺、昨日···。
隣で眠る若井を見て色々思い出して恥ずかしくなって、けどついにしたんだと思うとなんだか昨日の自分より大人になった気がする。
起こさないようにそっとバスルームに移動する。
「うわ···まだぬるぬるする···」
たっぷりのボディソープで洗い流しているとコンコンとドアが叩かれる。
「俺も一緒に入っていい?」
「うん···どうぞ」
正直明るいところで裸で2人は恥ずかしいけど、俺がこれということは若井もシャワーしたいだろうし、とドアを開ける。
「おはよ···身体、大丈夫?」
目を反らしているのは申し訳なさそうだからか、若井もこの状況が恥ずかしいのかその両方かもしれないと思うとなんだか少し可愛く思える。
「おはよ、ちょっと腰痛いかもだけど、全然へーき。むしろなんか嬉しいかも、ちゃんとしたんだなってわかって」
「ごめん···けど、俺もなんか嬉しい」
シャワーを浴びながら濡れた身体でくっつくとローションの残りが流れてぬるぬると俺たちの身体を滑っていく。
「うわ、すご···ごめん、また元貴汚しちゃったかも」
「···洗ってあげる」
「はっ?いやいいって···!」
ボディソープを泡立てて若井の身体に伸ばす、筋肉質な身体が滑らかで触っているだけで気持ちいい。
俺の中の若井は割と落ち着いてて俺より冷静な時が多かっただけに(ゲームとかしてる時は別だけど)慌てて顔を赤くしているのが新鮮でなんだか上手になったようで可愛らしい。
「ちょ、ちょっと元貴、そこはいいからっ」
「だーめ、ここが一番ぬるぬるしてるから」
下半身に手を伸ばしてそっと撫でるとそこは昨日みたいに硬くて熱くなってゆく。これが昨日自分の中に···といやらしく想像してしまって、俺もへんな気持ちになってしまう。
「あのなぁ···っ、昨日の今日でする気もないけど、煽るのはだめって」
まだ若井はそんなことを言ってる。
したいのは、俺も一緒なのに。
「付き合う前、何回も寝てた若井にキスしたことある」
「は···え?」
「寝てる若井のここ、ズボンの上から触って興奮してひとりでしちゃったことも」
「も、もも、もとき?」
「···それくらい、俺もしたい気持ちあるの。触りあうくらい、いいでしょ?」
そのあと、若井と俺はしばらくその場でお互いに触りあう行為に熱中してしまい、しばらく出られなかった。
「···元貴って小悪魔だよね」
朝ごはんを食べながら若井が呟く。
俺はその言葉になんだか勝った気持ちになって笑ってしまった。
「元貴には敵わないよ」
若井のその優しいが顔が嬉しくて堪らない。
荷物を片付けて俺は部屋を出る前にぎゅうっと若井に抱きついた。
「連れてきてくれてありがとう、本当に全部が素敵だった」
「うん、俺にとっても最高だった。また絶対一緒に来よう」
お揃いの指輪をつけて俺たちは日常へと戻っていく。
夏の風のように、一瞬にも思える幸せな日々が過ぎていった。
今年の夏休み明けも、学校で会う若井は少しまた大人っぽくなったように感じて、でも今年は俺もそんな風に見えているのかなって少し思った。
最後の体育祭や文化祭、俺たちはたくさん写真を撮ってたくさんの思い出を作った。
それは若井の提案だった。
もちろんイベントで友達で写真を撮ったりすることはあった。けど若井が付き合い初めてからはよく写真を撮ろうよって言ってくれるようになった。
スマホで撮ることもあったけど、買ったカメラで撮ることも多かった。
雪が降った日、お花見や新学期、あのお泊りした夏の日はもちろん、普段もたまに見せてもらうと俺の寝顔なんかもあって、お返しに若井のもこっそり撮ることもあった。
「なんかね、元貴と付き合い初めてからより残したいって思うようになって···元々、写真も好きだったから」
俺も真似してたくさん撮った。
若井には内緒で他の人にはちょっと見せられないような写真も。
たくさんの思い出がたまる頃、付き合って1年を迎えるクリスマスが近づいていた。
「俺、料理とかしたことないけど出来らようになるかなぁ···、あとベッドは置けないからやっぱり布団かな」
「出た、元貴の現実逃避」
「楽しい事考えて頑張ろうとしてるの」
俺たちはよく勉強に嫌気が差すと2人暮らしの想像をして楽しいことを考えるようにしていた。
どこに住もうか、どんな部屋がいいか、料理とか掃除なんかはどうなるかなぁって2人で話すだけで楽しかったから。
「楽しいことがめちゃくちゃ待ってるから頑張ろ。俺はね、毎日一緒に寝られるのが楽しみ···たまにはお風呂一緒に入って」
「なんか照れる、なんかえっち」
「そういう想像する元貴の方がえっちでしょ」
泊まってもなかなか部屋で落ち着いてそういうことが出来るはずもなく、2人暮らししたら、なんて妄想は2人ともそっちに行きがちだった。
「だって若井が好きなんだもん」
「···じゃあ、キスして」
少し冷たい若井の唇が触れる。
もうすぐクリスマス。
俺達が付き合って1年になる日。
「···クリスマス、今年はプレゼント一緒に選ばない?」
「うん、いいね···クリスマスデートしよ。さ、その為にも勉強頑張ろっ」
きっと幸せなクリスマスになる。
俺はおねだりしてもう一度だけ若井からキスを貰った。
本当にクリスマスが待ち遠しかった。
コメント
2件
甘々な空気感が素敵!