テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件
直弥の「『おいで』って、言ってくれたから」っていう言葉、すごく刺さりました。詳しいこと何も知らないのに、それだけで動いちゃうのって、きっとその人への信頼とか憧れが大きいんだろうな。冬花ちゃんの気持ちもわかるし、でも直弥の潔さみたいなのもすごく印象的で…。タイトルの「平行線」、二人のこの距離感を表してるみたいで切なかったです。続き、気になります。
大学2年・10月。
「家、」「引っ越すことになった。」と直弥。
冬花「え?」「どこに?」
直弥「決めてないけど」
「井の頭線のどこかにしようかなって。」
冬花「え、井の頭って…」「東京?」
直弥「うん。」
「たぶん1時間半くらいで通えそう。」
冬花「そんなにかかるのに東京?」
「なんでよ?」
直弥「友達が住んでるから、」
「近くがいいかなって」
冬花「友達って…」「男なんだよね」
直弥がうなづく。
冬花「その人、名前は?」
直弥「名前…?あお…」
言いかけて、少し考えて
「……『じん』?」
冬花「苗字は?」
直弥「⋯⋯。」「知らない。」
冬花「大学は?」
直弥「⋯⋯。なんて名前だっけ。」
冬花「何学部?」
直弥「⋯知らない。」
冬花「どこで知り合ったの?」
直弥「ネット。」
冬花の顔色がさらに曇る。
「……ねえ、その人、本当に大丈夫なの?」
直弥「大丈夫。」「誕生日、お祝いしてくれたし。」
冬花「冬花だってお祝いしたじゃない。」
直弥「…それに。」
「『おいで』って、言ってくれたから。」