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蒸し暑い夏のある日1人の転校生がうちの学校にやってきた。
名前は、佐倉華《さくらはな》。どこかで聞いたことがあるようなひびき。だがそんなことはどうでもいい。なんたって彼女は、転校初日で「高嶺の花」とあだ名がついた美女。 両親が病院を経営していてお金もそこそこあるようだし、何より顔立ちが整っている。
たいした金も持っていない平凡な俺とは一生関係ない。
なのに、なんなんだ、この気持ちは。
ことの始まりは彼女が転校してきた日の朝。
「ねえ、あなた紗倉海翔よね?」
「…は?」
いきなりの事だった。先生の話もろくに聞かずに俺の席にずんずん近づいてきた。話しかけられたと思ったらいきなり名前を当てられるし、もう何がなにか分からなくなってパニクっていたら、ちょうどチャイムがなってパニックタイムは終了した。俺の席の隣のやつは、
「お前あの子と知り合いなのか?」と質問攻めしてきた。もちろん、あんな美女と話したことも会ったこともない。だから不思議だった。なぜ俺の名前を知っているのか。不思議というよりかは、怖かった。鳥肌が止まらなかった。
名前を当てられたことに鳥肌が立ったのか、別のことに鳥肌立ったのかは知らない。なんだか変な気分だった。懐かしいような、泣きたくなるような、苦しいような、嬉しいような。
その日は彼女のせいで授業内容はひとつも覚えられなかった。