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いわふか
岩本→「」
深澤→『』
深澤side
朝から降り続ける雨のお陰で二人だけの空間が出来上がっているようで。窓を叩く雨音とベッドの軋む音が印象的な夜だった。彼にすっかり作り替えられてしまった身体は些細な刺激も大きな快感として拾う。彼も彼で俺が何処で感じるのか、どういう触り方をすれば善くなれるのかを知り尽くしているから指でもものでもいいところを的確に狙ってくる。なんとなく今日は彼の甘さを存分に感じたくて甘えまくってみたら密着度高いからって理由だけで対面座位になった、自重で勝手に奥入ってきてえぐい
『…ん、…っ、照、』
「ん?どしたふっか」
『今日、さぁ…っん、キス全然してくんないの、なんで、?』
彼がにやりと笑ったのがわかって彼の魂胆に気が付く。うわくそ、嵌められた
「ふっかのお強請り聞きたかったから、笑 してほしいの?」
いつもの数倍甘い行為と甘い声。それにプラスして口調とか言ってることに普段より余裕があってムカつく。俺がいつもよりも素直になれば彼のこの調子も狂わすことが出来るのだろうか
『…して欲しい、』
「ふは、かわいい笑」
そんなやり取りをしているうちに自分からした方が早いことに気が付いて自分から仕掛けることにした。俺からすることは滅多にないからかめっちゃ吃驚してて面白いし可愛い。上機嫌で口付けを繰り返すも今度は下が疎かになってきたからか腹の奥が変。いや待って、なんかこの感じ前もあったような気がする。なんだっけ
『…照、なんかすげえ腹が変』
「はぁ、?笑 奥欲しいってこと?」
『違ぇそうじゃなくって…』
「まじでどゆこと?」
彼が徐に手を伸ばしてきて俺の腹に触れた途端にぶわっと体温が上がった気がした
『…っぇ、な、ぁ、何これ…っひか、?』
見覚えのある眼。俺は数年前にもこの眼を見ている。あの時、楽屋で俺じゃないアイツに向けられていたこの眼を。この視線が、今度は俺に向いていることに優越感さえ感じた
「…ふっか、」
あの時と同じようで違う状況。いつかの楽屋での出来事が脳裏に過ってあの時に噛まれた自分の右手の甲を見る。当たり前だけど、そこに彼の噛み跡なんて残ってなかった。そもそもこんなとこ噛んでも何にもならないし良いんだけどさ。今度は手じゃなくて項に。めめのじゃなくて俺の首元に、彼の唇が近付いて微かに歯が当たった感覚がした。多分照はフェロモンへの耐性がほぼないって言うか影響されやすいんだろうな、俺のこんな弱いヒートにまで反応してんだもん
『…照、愛してるよ』
「…俺も。絶対幸せにするから、一生側に居ろよ」
慣れてしまったはずの甘噛みも、今回ばかりは全然甘くなかった
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岩本side
目を瞑っている筈なのになんだか眩しくて、目を開くとすぐ側に恋人の存在があって幸せな朝を迎えた。色白の彼の肌にいくつも残る俺が付けた跡は昨日は紅く映えていたのにもはや少し痛々しく見えた。とびっきり甘くって言われてたのにちょっとやりすぎたかもな。沢山の赤い印を見ていると噛み跡のことを思い出して彼の項を覗く、しっかり付いてた。昨日のふっかのあれは結局なんだったんだろう、ヒート?で良いのか。だとしたらビッチング成功したってこと?まあまたふっかが起きたら聞いてみるか。彼を起こさないように優しく頬を撫でていると伏せられていた睫毛が上がった。あれ、起きちゃった
『…おあよ、』
「おはよー。身体大丈夫そ?」
『ん”ー…うん、ちょっと腰は痛いけど他は全然』
シた次の日の朝はいつも彼の体調を聞くところから始まる。返ってくるのは大体同じ返事だけど
「介護要りそう?笑」
『んや、大丈夫。あと今日あそこ行くんでしょ』
多分前話していたカフェの話だろう。俺が行きたいって言いだしてそのわがまま聞いてもらう形で今日行こうってなってたけどぶっちゃけふっかの身体の方が大事だしなぁ。徒歩で行ける距離だから明日でも明後日でもいつでもいいんだけど
「いやあれは今度でも行けるじゃ」
『今日って言ってたじゃん、期間限定品狙ってんだからつべこべ言わずに行くよ!!』
早口で言いきってから俺の返事も待たずに立ち上がった。痛ぇ!って言いながらもトコトコ歩いてるからまあ動けんことはないんだろうな
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『っし、照行ける~?』
「ん、行ける。ふっかももう忘れ物ない?」
『大丈夫ー』
扉を開くと昨日の雨はすっかりやんだようで、晴れ渡る青空が俺たちを迎えてくれた
『んじゃ行くかぁ』
「ん、…あ、手」
『何?手ぇ?』
わかってないふりしてやがる。彼を見詰めながら手を差し出してみるとぎゅ、と手を握られた
『ふふ、珍しくない?照から手繋ぎにくるの』
「今日は労らなきゃいけない日だからね」
『えー義務かよ笑』
ふっかのことだから言わなくてもわかってんだろうけど
「…嘘、俺が繋ぎたかっただけ」
『 ふは、そっかぁ。ねぇ照、______ 』
そっと耳打ちされた言葉に微笑んで頷いた
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