テラーノベル
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「なぁ」
みんなを見送ると歩くんがおもむろに口を開いた。
「今日あんまり話せなかったし……もう少し、一緒にいたい」
ほんの少し歩くんの頬が赤く染まっているように見える。
「あ!変な意味じゃなくって、花火みようってこと!」
「花火?」
「そ。八時から花火があがんだよ。とっておきの場所があるから一緒に行こうぜ!」
「うん!」
歩くんに連れてこられたのは近くの小さな公園だった。そこのベンチに座り、二人で花火が始まるのを待つ。
「あと一分もしないうちに始まる」
スマホで時間を確認した歩くんがそう言って、私の手を握った。
歩くんの大きな瞳と視線が絡まる。月明かりが彼の瞳に差し込み、キラキラと光っている。
「今日は来てくれてありがとな」
その瞬間、大きな花火が夜空に上がった。
いや、正しくはそれを直接確認はできなかった。
けれど、歩くんの瞳に映り込んだ色とりどりの光と大きな破裂音によってそれが花火だとわかった。
私たちの交わった視線は夜空へと移動する。
海の紅月くらげさん
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