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なんかできちゃった話 りすさん

ある森に、りすがいました。小さな体に大きなしっぽ。森の中での生活は、楽しくとも苦しくとも言えました。

そんな中、ある日人間のおじいさんが、りすさんの家の下で椅子を用意し、腰かけ絵を描き始めました。それはとても綺麗で、美しいものでした。そして、りすさんはおじいさんに言いました。


『おじいさん おじいさん、その絵、とっても綺麗だね。僕、感動しちゃった』


急に話しかけられてびっくりしたのか、おじいさんは少し固まりました。ですがすぐに笑顔に戻り、言いました。


『ありがとう。じゃあこの絵、きみにあげるよ。りすさんや、大事にしてな。』


そう言ってりすさんは絵をもらいました。りすさんの家に飾るには大きすぎるので家の外に飾っておきました。何度も何度もおじいさんに感謝をしたあと、おじいさんは森を出ていきました。満足げに、りすさんは絵を眺めていました。

森の中を飛んでいるカラスさんに、褒めてもらいました。


『素敵な絵だな。私も欲しいくらいだ。』


自分がかいたわけではないですが、なんだか嬉しくなったりすさんは、明日おじいさんがまたきたらこのことを教えてあげようと思いました。そんな事を考えていると、そういえば夜ご飯の木の実の在庫が少なくなっていることに気づいたので、いつも木の実を拾っている木の実の多い場所へ取りに行きました。


木の実をたくさん拾ってきて、疲れて足が重くなりながらも帰ってきました。すると、どういうことかおじいさんからもらった大事な絵がありません。家の中も、近くの湖にもありません。盗んだ…ということなら、先ほどここへきたカラスさんが一番可能性があるので、カラスさんの巣へやっていくことにしました。


『やいカラスさん、今日おじいさんにもらった絵、盗んでないかい?』


そう言うとびっくりした様子でカラスさんは首を横に振り否定しました。


『盗まれたのかい?まぁあんなところに置いてちゃぁねぇ……私も探そう。』


2匹で一生懸命探しました。暗い森の中、疲れても探しました。けれどどこにもありません。りすさんは悲しみながらも、家に帰りベッドに腰掛け眠りました。



次の日、憂鬱ながらも目を開け、家の外に出てみると、そこにはおじいさんの絵がおいてありました。りすさんは大喜び。興奮しながら短い手で絵を大事そうに抱きしめました。すると、置き手紙があることに気が付きました。


『りすへ

おはようございます。急に絵がなくなってびっくりしたでしょう。

急に盗んですみませんね。でもこれには理由があります。森を出てずっとおくの、小さな赤い屋根の家をたずねてみてください。

おじいさん』


りすさんはよくわからなかったけど、小さな赤い屋根の家を目指して歩いていくことにしました。けれど、りすさんは小さな赤い家よりももっともっと小さいです。おじいさんにもらった絵を持ちながら歩いているもんで、それはそれは大変なものでした。たくさんたくさん歩いたつもりでも、実際には少ししか動いていません。それでもりすさんは頑張って歩きました。小さな赤い屋根の家を目指して。


もうちょっと歩いて、もうすこし歩いて、りすさんが休憩していたところ、カラスさんがりすさんの上をとびかかろうとしたところで、カラスさんがりすさんに気づきました。事情を話してみると、カラスさんは背中に乗っていってくれるとのこと。カラスさんの上に乗って、涼しい風を全身で感じながら進んでいきました。



やがて、おじいさんが言っていた小さな赤い屋根の家をみつけてカラスさんにおろしてもらいました。りすさんはみえなくなるまでカラスさんを見送って、ドアの前で少しドキドキしながら立っていました。そして、ようやくドアのインターホンを押してドアを開けてもらいました。



『いらっしゃい……』










いつのまにか、りすさんはおじいさんの手の中にいました。でも、りすさんの手には絵がありません。なにも感じない身体でがんばって寝返りをうって、壁にかけてある絵をみました。 そういえば、もうすぐこの世界は秋です。絵の中の木たちが、最初は緑でいっぱいだった絵ですが、赤く染まって鮮やかになっていました。


りすさんは最期にずっと絵を眺めて、おじいさんの手の中で眠りました。

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