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iroha@変な語尾にハマった
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茈桃・赫桃
地雷さん🔙or自衛
ご本人様関係ありません
『 君が笑う、その裏側で。 』
# 01 期間限定ユニット
茈「桃、今日の撮影何時から?」
桃「んー、確か十時!」
茈「確かってなんだよ。昨日確認しただろ」
桃「えへへ、忘れちゃった」
朝の楽屋。
桃は鏡の前で髪を整えながら、隣に座る茈へ笑いかけた。
茈「お前なぁ……」
呆れたようにため息をつく茈。
その様子を見ていた赫が、後ろから桃の肩に腕を回した。
赫「桃ちゃん、今日終わったら飯行こうぜ」
桃「え、行きたい!」
赫「お、即答じゃん」
桃「だって赫とご飯行くの久しぶりだもん」
茈「俺もいるんだけど」
桃「茈も一緒に行こ?」
茈「……最初からそのつもりだよ」
そんな何気ない会話。
どこにでもある、いつもの朝。
少なくとも、このときの2人にはそう思えていた。
⸻
3人が所属する芸能事務所では、大型企画が進められていた。
期間限定の特別ユニット。
メンバーに選ばれたのは、紫崎茈、暇赫、そして桜司桃。
それぞれ違う個性を持つ3人だったが、ユニット結成の発表は大きな話題になった。
初めての合同インタビュー。
記者「今回のユニットで楽しみにしていることは?」
記者の質問に、赫が真っ先に答えた。
赫「桃ちゃんと一緒に活動できることですね!」
桃「俺も!」
桃が笑顔で手を挙げる。
記者「茈さんは?」
茈「……別に」
桃「えー!」
茈「嘘。楽しみにしてる」
3人の笑い声がスタジオに響く。
その光景を、少し離れた場所からスタッフが撮影していた。
カメラの赤いランプが消える。
スタッフ「はい、オッケーです!」
その声と同時に、桃は笑顔を消した。
ほんの一瞬だった。
けれど、カメラの外にいた茈は、その変化を見逃さなかった。
茈「桃?」
桃「ん?」
茈「……いや、何でもない」
桃「変な茈!」
桃は再び笑った。
まるで、何事もなかったかのように。
⸻
その日の夜。
3人は約束通り食事に出かけた。
赫「そういや桃、最近寝れてる?」
赫が何気なく尋ねる。
桃「寝れてるよ?」
赫「ほんとか?」
桃「ほんと!」
赫「ならいいけど」
赫は笑った。
しかし、茈は桃の手元を見ていた。
箸を持つ指先が、わずかに震えている。
茈「桃」
桃「なぁに?」
茈「無理してないか」
桃「……してないよ?」
返事が少し遅れた。
茈「そうか」
茈はそれ以上聞かなかった。
ただ、気になっていた。
最近の桃は、笑うタイミングが少しだけ遅い。
まるで、笑うことを思い出してから笑っているようだった。
# 02 笑顔の違和感
ユニット活動が始まって一か月。
3人は忙しい日々を送っていた。
レコーディング、雑誌撮影、テレビ出演、ライブの練習。
毎日が目まぐるしく過ぎていく。
そんな中、桃だけが少しずつ変わっていった。
赫「桃、今日も帰るの?」
桃「うん。ちょっと用事があって」
赫「最近付き合い悪いなぁ」
赫が冗談っぽく言う。
桃「ごめんね。また今度!」
赫「絶対だよ?」
桃「うん!」
桃は荷物を持って楽屋を出ていった。
ドアが閉まる。
赫「……なあ、茈」
茈「何」
赫「桃、なんか変じゃない?」
茈「お前も気づいてたか」
赫「そりゃ気づくでしょ」
赫は椅子に深く座り込んだ。
赫「俺ら、なんかしたんかな」
茈「心当たりはない」
赫「ならいいけど」
そう言いながらも、赫の表情は晴れなかった。
⸻
数日後。
茈は事務所の廊下で、マネージャーと話す桃を見かけた。
桃「本当に、それでいいんですか?」
マネ「まだ時間はあります。考え直すこともできますよ」
桃「大丈夫です」
桃は静かに頭を下げた。
マネージャーが去ったあと、桃はしばらくその場に立っていた。
茈「今の話、何だ」
桃「うわっ、茈!?」
茈「驚きすぎだろ」
桃「えっと……仕事の話!」
茈「どんな仕事」
桃「秘密!」
桃は笑って逃げるように歩き出した。
茈はその背中を見つめた。
追いかけようとして、やめた。
代わりに、マネージャーが持っていた書類の一部が目に入った。
そこには、見慣れない文字が記されていた。
『活動終了後の契約について』
そして、その下に桃の名前があった。
⸻
その夜。
赫は桃に電話をかけた。
数回の呼び出し音のあと、桃が出る。
桃『もしもし?』
赫「桃?」
桃『赫?どうしたの?』
赫「いや、ちょっと声聞きたくなって」
桃『なにそれ、寂しかったの?』
赫「そうそう。桃不足だわ」
桃『ふふ、なにそれ』
いつもの声。
いつもの笑い方。
それなのに。
赫「なあ、桃」
桃『ん?』
赫「俺ら、ずっと一緒に居れるよね?」
電話の向こうが静かになる。
数秒後、桃が答えた。
桃『……うん』
赫「ほんと?」
桃『ほんとだよ』
その声は優しかった。
けれど、赫にはなぜか、それが別れの挨拶のように聞こえた。
# 03 知らなかった過去
ある日、赫は事務所の倉庫で古い資料を見つけた。
整理中に出てきた、過去の企画書や写真。
その中に、一枚の写真があった。
まだ幼い桃が写っている。
その隣には、見覚えのある人物がいた。
赫「……これ」
写真の裏には日付が書かれていた。
三人が出会うよりも、ずっと前。
そして、その下に短い文章。
『三人で、もう一度ステージに立つ』
赫「三人……?」
写真に写っているのは二人だけだった。
桃と、もう一人。
その人物の顔は、写真の端が折れていてよく見えない。
茈「赫?」
背後から声がした。
振り返ると、茈が立っていた。
茈「何してんの」
赫「これ見てみ」
赫は写真を差し出した。
茈はしばらく写真を見つめていた。
茈「……桃か」
赫「そう。これ、どういうことだと思う?」
茈「知らない」
赫「でも、気になるでしょ」
茈は写真を裏返した。
そこに書かれていた文字を読んで、少しだけ目を細める。
茈「もう一度、か」
赫「前にも何かあったんだろうな」
茈「桃に聞くしかない」
赫「だな」
しかし、二人が桃に尋ねる前に、事態は動いた。
⸻
翌週。
事務所から突然発表があった。
『桜司桃、期間限定ユニットの活動終了をもって芸能活動を休止』
理由は体調面と今後の活動方針を考慮したもの。
詳細については非公表。
ニュースは瞬く間に広がった。
ファンからは心配の声が相次いだ。
茈と赫は、発表を見た直後に桃のもとへ向かった。
赫「桃!」
楽屋のドアを開ける。
桃は一人で座っていた。
桃「……あ、2人とも」
赫「これ、どういうこと」
赫がスマートフォンを見せる。
桃は画面を見つめた。
そして、困ったように笑った。
桃「ごめんね。まだ言ってなかった」
茈「なんでだ」
桃「ちょっと休みたいなって思って」
赫「それだけか?」
茈「嘘つくな」
桃の笑顔が止まった。
茈「俺たちに言えないことなのか」
桃「違うよ」
茈「じゃあ、話せ」
桃「……ごめん」
桃は俯いた。
桃「今は、まだ言えない」
その言葉に、赫は何も返せなかった。
# 04 最後のステージ
活動終了まで、残り一週間。
3人は最後のライブに向けて準備を進めていた。
練習中、桃は何度も歌詞を間違えた。
茈「桃、そこ違う」
桃「えっ、あ、ごめん!」
茈「大丈夫か?」
桃「大丈夫!」
そう言って笑う桃。
茈は譜面を置いた。
茈「一回休憩にしよう」
桃「え、でも」
茈「休憩」
桃「……うん」
赫も桃の隣に座った。
赫「桃」
桃「なぁに?」
赫「ライブ終わったら、三人で飯行こうぜ」
桃「いいね」
赫「今度は断らないでな」
桃「断らないよ」
赫「約束だよ」
桃「うん。約束」
桃は小指を差し出した。
赫はその指に自分の小指を絡めた。
茈も何も言わず、その手に指を添える。
三人の小指が重なった。
赫「絶対だからな」
赫が笑う。
桃も笑った。
桃「絶対ね」
その約束が守られることはなかった。
⸻
ライブ当日。
会場には大勢のファンが集まっていた。
照明が落ちる。
歓声が響く。
そして、三人がステージに登場した。
桃は笑っていた。
茈も、赫も。
三人は最後の曲を歌い始めた。
その曲は、ユニット結成時に初めて披露した曲だった。
歌詞の一つ一つが、これまでの時間を思い出させる。
桃はマイクを握り、客席を見渡した。
たくさんの光。
たくさんの声。
そして、隣にいる二人。
この景色を、忘れたくないと思った。
最後のサビ。
桃は少しだけ声を震わせた。
それでも、最後まで歌い切った。
曲が終わる。
会場中から拍手が起こる。
赫が桃の肩を抱いた。
茈がその反対側に立つ。
三人で頭を下げた。
それが、三人で立つ最後のステージだった。
⸻
ライブ終了後。
楽屋には三人分の荷物が置かれていた。
しかし、桃の姿はなかった。
赫「桃?」
赫が廊下に出る。
スタッフに尋ねても、誰も行き先を知らなかった。
茈は楽屋の机に置かれた封筒を見つけた。
表には、三人の名前。
中には、一枚の手紙が入っていた。
『二人へ』
その文字を見た瞬間、茈の手が止まった。
# 05 残された手紙
『茈、赫へ。
今までありがとう。
二人と一緒に活動できて、本当に楽しかった。
最初は少し不安だったけど、二人がいてくれたから頑張れたよ。
茈はいつも厳しいけど、誰よりも優しい人。
赫はいつもふざけてるけど、誰よりも周りを見ている人。
二人のこと、俺は大好きです。
だから、これからも二人で頑張ってほしい。
俺がいなくても、ちゃんと笑っていてね。
約束だよ。
桃』
読み終えた赫は、手紙を握りしめた。
赫「……なんだよ、それ」
声が震える。
赫「なんで、勝手に決めるん」
茈は何も言わなかった。
ただ、手紙の最後に書かれた文字を見つめていた。
『追伸。
あの写真、捨てないでね』
赫「写真……?」
二人は、倉庫で見つけた古い写真を思い出した。
そして、もう一度事務所へ向かった。
⸻
倉庫の奥。
古い資料の束を探していると、茈が一冊のファイルを見つけた。
表紙には、こう書かれていた。
『特別企画・再始動計画』
中を開く。
そこには、見慣れた名前が並んでいた。
桜司桃。
紫崎茈。
暇赫。
しかし、その資料の日付は三人が出会うよりも前だった。
赫「……どういうことや」
赫がページをめくる。
そこには、企画の概要が記されていた。
『過去に中止となった三人組ユニットの再構成』
『旧企画メンバーの関係者を中心に選定』
そして、最後のページ。
『企画対象者・桜司桃』
『企画の進行にあたり、本人の記憶と意思を最優先すること』
茈「記憶……?」
その下には、さらに一文があった。
『本人には、旧企画の詳細を伝えないこと』
二人は顔を見合わせた。
そのとき、ファイルの間から一枚の紙が落ちた。
そこには、古い日付と、短い文章が書かれていた。
『桜司桃は、この企画に参加したことがある』
# 00 君が笑う、その裏側で
二人は事務所のマネージャーを問い詰めた。
最初は口を閉ざしていたマネージャーだったが、やがて静かに話し始めた。
マネ「……桃くんは、昔にも同じ企画に参加していました」
赫「昔?」
マネ「まだ三人が今のように活動する前です」
マネージャーは古い写真を机に置いた。
そこには、幼い桃と、二人の少年が写っていた。
一人は赫。
もう一人は茈。
赫「……俺ら?」
マネ「そうです。皆さんは、昔、一緒にステージに立つ約束をしていたんです」
しかし、その企画は途中で中止になった。
当時の事情は複雑で、三人はそれぞれ別の道を歩むことになった。
そして、長い年月が過ぎた。
マネ「今回のユニットは、その企画を再構成したものです」
茈「なんで桃は何も言わなかったんですか」
マネージャーは、少しだけ視線を落とした。
マネ「桃くんが、自分から話さないことを選んだからです」
赫「どういうことや」
マネ「彼は、二人に昔のことを思い出してほしくなかったんです」
赫は息を呑んだ。
マネ「桃くんは、昔の企画が中止になったあとも、ずっと三人でステージに立つことを願っていました」
茈「……それなら」
マネ「でも、今回の企画が実現したとき、彼は一つだけ条件を出しました」
マネージャーは書類を差し出した。
そこには、桃の直筆でこう書かれていた。
『二人には、昔のことを知らせないでください』
赫「どうして……」
茈の声が小さくなる。
マネ「桃くんは、今の二人に、昔の約束ではなく、今の二人として自分と向き合ってほしかったんだと思います」
沈黙が落ちた。
昔の約束を果たすためではなく。
昔の関係を取り戻すためでもなく。
ただ、今の三人として。
一緒に笑いたかった。
それが桃の願いだった。
⸻
その後、二人は桃の部屋を訪ねた。
部屋はすでに片付けられていた。
机の上には、あのノートが置かれている。
茈がページを開く。
そこには、三人の活動中に書かれた日記が並んでいた。
『今日、赫がまた変なことを言っていた』
『茈が僕の分まで飲み物を買ってくれた』
『三人でいる時間が好き』
何気ない言葉ばかりだった。
最後のページには、こう書かれていた。
『二人に、ちゃんと伝えたいことがある。
でも、伝えたらきっと、二人は僕を引き止める。
だから、今は言わない。
僕は二人と一緒にいられて幸せだった。
この時間が本物だったなら、それで十分』
その下には、日付があった。
それは、ユニット結成が発表される前の日だった。
赫「……なあ、茈」
赫がノートを見つめたまま言った。
赫「俺ら、桃のこと何も知らんかったんだな」
茈「いや」
茈は首を横に振った。
茈「知らなかったんじゃない」
赫「え?」
茈「知ろうとしなかったんだと思う」
桃が笑っていれば安心した。
桃が大丈夫だと言えば、それ以上聞かなかった。
桃が隠していることに気づいていながら、いつか話してくれると信じていた。
二人は、桃の笑顔に甘えていたのかもしれない。
⸻
数日後。
赫のもとに、一通のメールが届いた。
送り主は、知らないアドレス。
件名はない。
本文には、短い文章だけが書かれていた。
『二人とも、ありがとう。
あの日の約束、ちゃんと覚えてるよ。
でも、最後に一つだけ訂正させてね。
僕は、二人ともう一度ステージに立ちたかったんじゃない。
二人と一緒に、初めてのステージに立ちたかったんだ。
昔のことは、もういいんだよ。
僕にとっては、あの半年間が全部だったから。
だから、二人もあの時間を大切にしてね。
さようなら。
桃』
赫は何度もその文章を読み返した。
そして、画面を閉じた。
赫「……初めて、か」
隣にいた茈が呟く。
二人は、しばらく何も話さなかった。
やがて赫が口を開いた。
赫「なあ、茈」
茈「何」
赫「俺ら、また三人で歌えるんかな」
茈は答えなかった。
答えられなかった。
⸻
それから一年が経った。
茈と赫は、二人で活動を続けていた。
新しい曲を出し、ライブを開き、少しずつ前へ進んでいた。
けれど、二人の楽屋にはいつも三つの椅子が置かれていた。
誰も座らない、一つの椅子。
ある日、赫がその椅子の上に一枚の写真を置いた。
三人で撮った、あの日の写真。
赫「桃ちゃん、元気にしてるかな」
茈「さあな」
赫「会いたいなぁ」
茈「……俺も」
二人は写真を見つめた。
そこに写る桃は、いつも通り笑っていた。
その笑顔が本物だったのか。
それとも、二人に見せるためのものだったのか。
今となっては、もう分からない。
ただ一つだけ、確かなことがある。
あの半年間。
三人で過ごした時間は、確かに存在していた。
そして、桃が残したものは、今も二人の中にある。
⸻
その夜。
赫は自宅で、古いノートを開いた。
最後のページのさらに裏側。
今まで気づかなかった、小さな文字があった。
『追記。
これを読んでいる二人へ。
実は、俺が二人に隠していたことは、もう一つあるんだ。
俺は、昔の企画が中止になった理由を知っていた。
あの日、三人で撮った写真。
あの写真に写っている三人目は、俺じゃない。
俺がずっと探していたのは、あの日の約束を覚えている二人じゃなくて、
あの日の約束を、まだ知らない二人だった。
だから、もう一度だけ言わせてね。
あの半年間は、俺にとって初めての思い出だったよ。
ありがとう』
赫は、ノートを閉じた。
そして、初めて気づいた。
自分たちが探していた過去は、桃が大切にしていた過去とは違っていたのだと。
⸻
翌朝。
事務所に、一通の通知が届いた。
差出人は、桜司桃。
件名には、こう書かれていた。
『新しい活動について』
本文は、一行だけ。
『今度は、俺の名前がなくても大丈夫なステージを見せてね』
その文章を読んだ茈は、静かにスマートフォンを伏せた。
赫は何も言わなかった。
二人は、三つ目の椅子を片付けなかった。
いつかまた、そこに誰かが座る日が来るのかもしれない。
来ないのかもしれない。
それでも、二人は歌い続ける。
桃がいなくなった世界で。
桃が残してくれた時間を抱えて。
そして今日も、ステージの上で笑う。
誰かに見せるためではなく。
あの日の桃に、届くように。
END
『君が笑う、その裏側で。』
コメント
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お 〜 .ᐟ .ᐟ ✨️
わあああ第1話読んだけど、胸がぎゅってなった…😭💕 桃くんの笑顔の裏側に隠された想い、めっちゃ切ない。 特に「笑うタイミングが少しだけ遅い」って描写が刺さりすぎて、、 三人の絆が過去にも繋がってるの、すごく気になる展開だよ! 写真の三人目って誰なんだろう…?! 最後のメールも手紙も全部がエモすぎて涙腺やばかったです… # み ゃ む 。さん、素敵な作品ありがとうございます🌸✨