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私は小さな夢を見ていた。
なぜか思い出せない。
恋をした。
あの人に恋した。
でも、あの人の声がどうしても、どうしても思い出せない。
夢の中の自分は恋をしていた。
だけれど、目が覚めたら忘れてしまう。
あの人と、私の夢の中でたくさん話した。
たくさん遊んだ。
たくさん笑いあった。
どのくらい時間が経ったのだろう。
この時間が続けばいいのに。
一生時間が止まっていればいいのに。
なんで、
なんでなんで、
あの人のことがもう思い出せない。
目が覚める度に、全部忘れてしまう。
体や、顔の形もみえなくなった。
でも、私はあなたのことをあいしている。
この記憶が亡くなる前に
想いを伝えよう。
夢の中で。
わたし、あなたの事が好き。
でも、私の目が覚めたら、あなたのことはわすれてしまうの。
わすれたくない、あなたのこと、いつでも想っていたい。
だから、おねがいだから、どうか消えないで。
あなたの声が聞こえない。
もう、聞こえなくなってしまったの。
耳を澄ますと、かすかにあなたの声が聞こえる。
夢は、
記憶の
残り火で
できている。
きみの記憶が
ないから
夢も
いつか消えてしまう。
たった一つの
灯火が。
わたしは目を覚ました。
目から涙が出てきた。
昨日、私は怖い夢でも見たのだろうか。
それさえ忘れてしまった。
放課後、図書館へ行った。
なんの本を借りようかな。
真っ直ぐ歩いていると、ふと目に止まった本があった。
「夢の名前を失う」
どんなことが書いてあるのだろうか。
立ち読みしていると、横から足音がした。
その本、ぼくも好きなんです。
名前、素敵ですよね。
嗅いだことのある匂いがする。
遠く遠く離れた、私の記憶の中にある、小さな夢の匂いがする。
どうしても、どうしても、
思い出せない。
あなたは、 誰でしたか。