『監督生が急に泣き出した』
その話は瞬く間に学園中に広がった。あいつは普段から良くも悪くも注目されているし、噂も広がるのが早いのだろう。俺もさっき談話室で聞いたのが初めだし。監督生が泣いたって聞いた時、嘘だって思った。急に泣き出した、なんてあるくらいだし監督生は人目に付くところで泣いたってことになる。それだと四六時中俺らとずっと一緒にいる俺らが気付かないはずがない。それに、あいつは泣く様なタマじゃねぇし。
ただ、現にこうして話が上がってる以上ほっとく訳にもいかず……っておい、デュース落ち着け!その凶器しまえ!噂が本当かどうかわかんねぇだろ!!…ったく。さっきから自称優等生のデュースくんはおおよそ優等生とは思えないワル用語連発しまくってどっから取り出したのか鉄バット持って素振りしてるし、寮長はそれはもうお怒りで顔を真っ赤にしながら「僕の寮生を泣かせたのはどこのどいつだい!!?首を刎ねてやる!!!!」って言いながら手当りしだいユニーク魔法を使いまくってるし(オフへ済み)、トレイ先輩はニコニコ笑いつつも目が笑ってないし、ケイト先輩はいつもの笑顔はどこへ行ったのか真顔だし………あーーー、もうなんなのこのカオス。誰が収集つけんだ。はぁ、とため息を吐く俺の名前がふいに呼ばれた
「おいエース!!!今から監督生の所へ行くぞ!噂の調査は先輩達に任す!」
「早く行ってやれ、お前らは監督生と1番仲がいいからな。もし本当に泣いてたらさりげなく慰めてやるんだぞ」
「あ、ハイ。取り敢えず殺さないでくださいね」
「ははは」
「いや笑い事じゃなくて」
自寮の先輩が警察のお世話になるのは流石に心苦しい。まだいるかどうかわからない犯人の安否に思いを馳せながら監督生の住んでいるオンボロ寮へ向かう。相変わらずボロっちいな。監督生が毎日コツコツ補修してるらしいけど、これ建て直した方が早いんじゃね…?
コンコン、と玄関ドアを叩く。少ししないうちに中から足音が聞こえ、ガタついたドアがギィギィとそのボロさを主張するかの様な音を立てて開かれた。
「かんとくせー。ちょっと聞きたい事が__っ!!」
「……目元が赤い。もしかして泣いていたのか?」
「あー…うん。まぁここで突っ立ってる訳にも行かねぇからさ、取り敢えず中に入れよ」
言われた通りに中へ入ると、そこには監督生を心配そうに見つめるグリムとゴースト達が居た。監督生がこまめに掃除している為ここに始めてきた頃に見られた蜘蛛の巣や埃っぽさは無くなったものの、依然としてそのオンボロ加減は消えていない。見ろ、あそこに前抜けた床がそのまま残っている。普通床が抜ける事なんてないし、あったとしてもすぐ修理されるはずなんだが………その金すらないのか?デュースじゃないけどちょっとこの話が終わったら学園長にカチコミに行こう
「……んで、どーした?」
「…………。その、日頃のストレスが爆発してな。怒りとかすっとばして泣けてきて、涙が止まんなかったんだ」
「監督生…すまない、ダチが困ってるのに力になれなくて…。せめて、相談に乗らせてくれ!僕に出来ることならなんでもする!!」
「ま、俺らに出来ることなんて限られてるけど。愚痴くらいならきいてやんよ」
「デュース…エース…ありがと。じゃ、まぁ聞いてくれるか?」
「おう!」
「ん」
監督生から語られた話は聞くに絶えなかった。こいつの苦労想像して、もう俺らはプライドとか殴り捨てて泣いた。そんで抱き締めた。辛いのはこいつなのに俺ら慰めてくれるし、途中でグリムやゴースト達も泣き出して、しまいには全員で泣いた。その後、会話の一部始終を電話で寮長に連絡したところ、すぐに電話越しに爆発音が聞こえた。今は寮長会議中だし、学園長に攻撃でもしたんだろう。いいぞもっとやれ
その日はオンボロ寮で他の1年も呼んで菓子パ&お泊まり会をして、そのまま雑魚寝した。次の日ボロボロの状態の学園長がクルーウェル先生を筆頭に教師陣と寮長達に引き摺られながらやってきた。話を聞く限り、今更謝罪しにきたらしい。
「___ですので、決して悪気があった訳ではなく、その、本当にすみませんでした!!」
「いや、あの…そんな謝らないでくださ_」
「グダグダ言い訳並べてましたけど、それがどうかしたんすか?」
「えっ?」
「なんすかその表情。まさかこれで許してもらおうなんて思ってませんよね?そもそも悪気があるないの話じゃないんですよ。学園長のうっかりのせいで監督生がどれだけ苦労したか分かってるんですか?こいつ、入学した時と比べてめっっちゃ細くなりましたよ。そんな監督生に雑用押し付けて。オクタヴィネルとサバナクローは学園長のその雑用せいで監督生がオーバーブロットに巻き込まれたんすよ?しかも、聞いてみればスカラビアの時は保護してる監督生ほっぽってバカンスに行ってたんですよね?電話で助け求めてもバカンスに行っているのでとか抜かしてなんの話も聞かずに切ったみたいじゃないですか」
「おい、エース!もういいってば!俺生きてるし、だいじょう_」
「大丈夫じゃないだろ!!!そりゃ、俺らだってイソギンチャクの件とかで色々迷惑掛けたし、どの口がって思うかも知んないけど!!!!急に異世界に拉致って保護するとかのたまわっておきながら最低限の衣食住すらもまともにあたえられてない!!!!なにが私優しいので、だ!!本当にそう言うんなら監督生の事もっと気にかけてやれよ!!!!!」
「その通りだ!今更あさぐっても遅いんだがよ!!!監督生クンがなんも言わねがっだのをいいごどに好き勝手しらがって!!!!」
「監督生が怒んねぇなら俺らが変わりに怒ってやる!!お前が呑気にお茶飲んでる時でさえ監督生は苦労してきたんだぞ!!!!」
「貴様は教育者以前に大人として恥ずかしくないのか!!!!!!保護者を名乗るならまず自分の事より人間の事を気に掛けてやれ!!!!!!!」
「学園長、流石に俺もどうかと思います。……ガツンと言わないと言わないとわかんないと思うんで、ハッキリ言います。監督生の生活が困窮してることなんて少し考えればわかることだろ!!忙しくてとか言っていたが、それはただの怠慢だ!!!!そんな言い訳どうだっていい!!申し訳ないと思うなら早く改善したらどうだ!!!??」
「ユウさんは僕と兄さんと友達になってくれたし、気も遣えるとってもいい人なんだよ!さっきも学園長を見た途端ユウさんのバイタリティが大きく変化して明らかに嫌がってたんだよ!ユウさんをこれ以上いじめるなら、魔導ビームで吹き飛ばすか__」
「いいっつってんだろ!!!!!!!!」
オルトの声に重ねる様に響き渡るような怒号が後ろから聞こえた。振り返ると、自分でもびっくりしてるかの様に目を見開いて口を抑えている。そんなに嫌だったのか、と思い謝るが監督生は焦ったように……というより、怯えた様に視線をウロウロさせている
「か、監督生………?」
「っ…とうに、大丈夫なんだ。それに、学園長は本当に優しいし……」
「おい草食動物。その鴉を庇う必要なんてねぇ。一応これでも学園の長だ。自分のやらかした不始末は自分で片付けるべきだからなァ」
「ユウくん、今回ばかりは私が全て悪かったんです。庇っていただけるのは嬉しいですが、これでは教育者うんぬんの前に保護者として……」
「ですから!!俺は、居場所をくれた学園長に感謝してるんです。それに……
監督生
名前はユウ。俺のツイステ作品では珍しい男主人公。
この世界に戸籍も身内も居ないから入学させないでそのまま殺してもなんの問題にもならなかっただろうし、生かしてくれている上に保護してくれている学園長には感謝しかないし本当に優しいと思ってる。
この後めちゃくちゃ泣かれるわ倒れるわでアフターケアが大変だった。次の日から扱いがまるでお姫様のように甘ったるくなり監督生は「じゃかあしい!!!!!!!!」と叫んだ
マブ
がくえんちょうころす
寮長
がくえんちょうころす
学園長
殺゙ずわ゙げな゙い゙じゃ゙な゙い゙で゙ずが!!!!!!
コメント
7件
めちゃくちゃニヤニヤしながら見てたけど最後の最後で爆弾落とされてルチウスたんみたいな声出た … 。 良作をありがとうございますッッッ!!
色々監督生さん優しい!!学園長ファイト!!
…あはは…学園長どんまい