「ぐち逸」
「はい」
「キスしたよね?」
「は、い……」
「俺たちもう付き合ってるよね」
「……ですよね?」
「うん……」
俺は途方に暮れている。
キスされて、キスして、晴れて付き合った俺とぐち逸。それかは数日経ち何度か会っているが、やった恋人らしいことと言えばそれだけだ。
付き合うって、何すればいい。
「……デートとかしちゃう?」
「申し訳ありませんが、職業柄ギャングとの関わりを知られるのはちょっと……」
「そうだよねぇ。だからぐち逸家来たんだもんねぇ……」
じゃあヤること1個しか思いつかないよ……。
もう1時間ぐち逸の家のソファで2人まったりしてる……のも、まあいいけど。
ああだめだ。もうそれしか思いつかない。いきなり言ってきたらぐち逸引くかな。別に今溜まってる訳じゃないけど、この時間何すりゃいいのか……。とりあえず何となく誘導してみる……?
「ねえ。ぐち逸はなんかしたいことある?」
「……手とか、繋ぎます?」
!?
あまりに驚いてすぐ左隣に座るぐち逸を思い切り見る。見えたのは後頭部だった。めちゃくちゃ目を逸らしている。告白の時キスまでしたのに耳まで赤い。
とりあえず手を握った。より体温を感じられるように、指を絡める恋人繋ぎというやつで。
……どうしよう。何がどうしようって、今俺、手繋ぎで照れてる人間を本番まで誘おうとしてる。どしっと罪悪感が重くのしかかる。
待ってくれ、俺ってぐち逸にどれくらい迫っても良いんだ?正直嫌われないだろとは思ってるけど、倫理を外れたい訳ではない。ああでも、うーん、うーーーーん……
「ぐち逸ってセックスって知ってる?」
「何言ってんですか」
まずい、倫理を外れた。パニックにも程がある。
「医者ですよ。知らない訳無いでしょう。というかなんですか急に!!」
珍しく顔を赤くして声を荒らげている。かわいい、けど今そうじゃない。
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「ごめん、ちょっとパニックだった……。恋人がやることってそうなのかなって……」
「や、や……やりたいんですか、私と」
「そりゃそうでしょ……」
「…………」
心配なくらい首まで真っ赤だ。堪えきれない照れからか、思い切り噛んでいる唇から血が出ないか不安になる。
本当は今すぐヤりたい。繋いだ左手がどんどん熱くなった。体ごとぐち逸の方を向いてもう片手も手を繋ぐ。
「……ぐちーつ?」
「レダー、さん」
流れに任せてキスをした。
噛まれていたぐち逸の下唇を癒すように俺の唇で包む。
「んっ、ふ……」
角度を変えて何度か口付ける中でこっそりと目を開けて見る。目をぎゅっと閉じて眉間に皺を寄せていた。
緊張なのか強ばっている全身を解してやろうと頭を撫でると、表情が和らぐと共にぐち逸の目がゆっくりと開いた。
「……続きやる?」
「いっ……一旦、待ちましょう」
「俺は気持ち的には最後までやっ ちゃいたい、んだけど……」
「……あの、1つ聞きたいのですが」
「うん」
少し冷静な声で尋ねてきた。初っ端からがっつき過ぎたか……?
嫌がられてないといいんだけど__
「その、男性同士の行為のやり方、ご存知なんですか?」
「…………」
そして、俺とぐち逸の座学が始まった。
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続き楽しみにしてます!!✨