「その、男性同士の行為をどうやってやるかご存知なんですか?」
「…………」
まあ正直、知らない。ぐち逸を好きになってから全てが衝動的だったから、男性同士の行為について調べる暇がなかった。後ろを使うことくらいしか知らない。
でも確固たる自信はある。ぐち逸を気持ちよくする自信。
「……あんまり」
「なるほど……。医者ですから、衛生面などを無視はできません。貴方のためでもあります」
ぐち逸は医者として、照れることもなく真っ直ぐに俺を見つめた。”貴方のため”とか結構かっこいいのに恥じらいもない。それだけ真剣なんだろうと少し感心する。
そして俺だってぐち逸ために優しくしてあげたい。初めのうちはだけど。
「そりゃそうだよねえ。どうやって調べよっか?このスマホってネット検索とかできる……よね?」
「ネットの情報信頼できます?」
「じゃあどう調べるの」
「図書館……は無いか。本がある場所ありましたっけ」
「警察署?」
「その手の本がある訳ないでしょ」
怪訝な顔をされた。本があったような気がした場所を言っただけなのに……。
結局行為についての情報は、医者であるぐち逸の審議のもとネットで調べる事にした。 二人で確認しなければいけないために、小さなスマホ画面ひとつ四つの目でをかじるように見る。距離が近いし見ている内容も内容なので盛りたくもなる。
しかし、真面目にこれはどうだ、あれはどうだと学びを得るぐち逸に流石に手は出せなかった。
そんな中ふと顔を上げたぐち逸は少し考え込んで、俺の方を見た。
「……あの」
「ん?」
「今更なんですけど。どっちが……どっちですか?」
……なるほど。薄々思っていたがそうだ、男同士の行為では精神的立場で役割が決まってくる。……まあ俺はぐち逸を可愛いと思っているし、俺無しで生きていけないようにしたいから本音を言うと抱きたい。
「俺は……ぐち逸に気持ち良いこといっぱい教えたいな。負担はかけさせたくないけど、快感は感じて欲しい。だから男役?が良いのが本音、なんだけど……」
「……わかりました。安全に洗浄する技術はあります。他人への処理の方がやりやすくはありますが。まあ体力差は相当あるかもしれません。でも衛生面や健康面で自己管理できるのは私ですし、だから、その」
饒舌に喋ると思ったら俯いて口を噤む。下から顔覗くとさっきの真剣さとは反し、顔を赤く火照らせていた。なに?期待しちゃった?
「ちょっとずつ、進めましょう」
頭の中で悶々と想像をしてしまったのか、語尾にいくにつれ消え入りそうな声になる。医療スイッチが切れたのだろうか。
じゃあ、今度はこっちが動いてあげないとね。
「……ん。ね、ぐち逸。キス」
首周りに手を添え引き寄せる。そのままギュッと閉じた唇に優しく口付けた。これじゃ、まだ足んないよね。
「じゃあ次。口ちょっと開いてみて」
少し間を置いて素直に口を薄く開いた。待っていたと言わんばかりに食いつく。ゆっくりとぐち逸の口内に舌を入れてくと舌と舌が触れて熱を感じる。
「ん……っく、ふっ」
部屋に水音と少し荒い息遣い、時々眼鏡が触れる音が響く。ぐち逸は初め驚いて呼吸に詰まったが、次第に目を閉じて受け入れてくれた。
吸って、擦って、なぞって、絡める。
拙くはあるがついてくるぐち逸の舌が可愛くてたまらなかった。
軽く胸を叩かれて口を離す 。お互い息を整えて目が合う。混ざった唾液がぐち逸の口周りを濡らしているのがだらしなくて、いつもの真面目なぐち逸を壊している感覚に舌なめずりをした。
「……驚き、ました」
「今まで軽いキスだったからね。だんだん慣れてかないとでしょ」
その内もっとすごいことするんだからね。
恥ずかしがり屋のぐち逸のためにそれは言わないでやったけど。
もっと驚いちゃうような気持ちいいこと、これからはできるんだ。
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