彼の口から真摯に伝えられた言葉に、「はい……」とだけ頷いた。
他にどう答えたらいいのか、今の私には考えつかなかった。
コーヒーを黙々と口に運び、混乱する頭をなんとか整理しようとしていると、急にぐぅーと私のお腹が鳴った。
「良ければ、私と食事でもしますか? 君が嫌でなければ」
彼の方から、そう声をかけられて、自分のお腹の音を気取られてしまったことに恥ずかしさを覚えつつ、「……嫌だなんてことは、」と、首を横に振って応じた。
「あの……どこかへ食べにでも…?」
もしかして外食に出かけるんだろうかと思い、彼へ問い返すと、
「作りますよ、私が」
そう一言、答えが返された──。
「先生が…ですか?」
目の前のこの人が、手料理を振る舞うなんてという、新たな驚きが襲う。
「これでも、料理はする方なんで」
まさかと云う思いが隠し切れずにいる私に、
「少し、待っていてもらえますか?」
彼が締めているネクタイを手早くほどき、ワイシャツの袖をまくり上げながらキッチンへ向かった。
その姿に手慣れている感が垣間見えると、今まで感じたこともなかった彼の人間味を、初めて目の当たりにしたようにも思えた……。
コメント
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先生はお料理もできるんですね😊 彼女の為に作るなんて素敵です🩷 どんなお料理かな🎵