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「千葉、お前も偉くなったもんだな!」
「先生…僕はそんな事言ってませんよ。ねぇ、佐藤さん?」
千葉は葵さんにウィンクをして、合図を送っていた。
「先生、千葉くん言ってました」
葵さんは、さらっと本当の事を言っていた。
「僕も言ってるの聞きました」
とりあえず、僕も葵さんに続いた。
「だってさ。誰がクラスの中心的な人間なのか詳しく聞いてやるから、放課後職員室に来いよ!」
松下は嬉しそうに言った後、廊下に向かって歩き出した。
「先生、ちょっと待って下さいよ」
千葉は松下の後を追いかけようとしたが、葵さんに腕を掴まれ止められていた。
「佐藤さん、ヒドイじゃないかよ。佐藤さんと瑛太のせいで、松下にまた呼び出されちまったよ」
「ゴメンなさい。嘘がつけない性格なもので…」
「だからって、仲間を売らなくても…」
「千葉くん…」
「何だよ?」
すると葵さんは千葉に何かを耳打ちした。
千葉が何を言われたのか想像も出来ないけど、首を傾げながら走り去ってしまった。
「千葉に何て?」
気になったので聞いてみた。
「気になりますか?」
「えぇ、まぁ…」
「“怪我には気を付けて下さい”って言いました」
「はぁ?」
何の事を言ってるのだろう?
「うっ‥占いですよ。ざっ‥雑誌に載ってたから教えてあげたんです」
どうやら僕が不思議そうな顔をしていたようで、葵さんは慌てて説明をしてきた。
「あぁ…占いですか。ちなみに僕はどうですか?」
女子は占いの類いが好きとは聞いてはいたが、まさか葵さんまでもが…。
「紺野さんは、病院に行くかもしれません」
「病院? どこも悪い所はないけど…」
「紺野さんとは限りませんよ」
「雑誌に載ってたんですよね?」
「はい…そうです」
ずいぶんと事細かに書かれた雑誌があったものだ…。
そして、その日も学校が終わるといつものように、亜季ちゃんとの待ち合わせ場所に向かった。
下駄箱で靴を履いていると、教室に忘れ物をした事に気付いた。
僕は急いで上履きに履き替え階段を駆け上がった。