テラーノベル
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すると上の方で何かが転げ落ちて来るような物凄い轟音が響き渡った。
「キャー」
その直後、女子の悲鳴が聞こえてきた。
慌てて2階まで上がると、誰かが階段から落ちたようで、既に人だかりができていた。
「いてててっ…いてぇいてぇ…いてぇ…‥」
どうやら階段から落ちた人間が痛みで、のたうち回っているようだった。
その時…ふと嫌な予感が脳裏をよぎった。
僕は人だかりをかき分け、一番前までたどり着くと、そこには…‥
もがき苦しんでいる千葉の姿があった。
「千葉っ!?」
近くまで歩み寄ると、顔は傷だらけで唇は切れて出血し、鼻血もでていた。
更に痛がっている足を見ると、左足がへの字に折れ曲がっていた。
「千葉、しっかりしろ! 直ぐに救急車がくるからな!」
それから、数分して担任の松下がやって来た。
「千葉、大丈夫か? お前は何をやってるんだっ…バカがっ…」
いつものように怒っていると思って松下を見ると、今にも泣き出しそうな顔で千葉を見ていた。
「先生、ゴメン…‥」
「うるさい、黙ってろ!」
信じられない事に、松下の目からは涙が流れ落ちていた。
それから数分後、救急車が到着し千葉は担架に乗せられた。
そして、付き添いには松下と…何故か僕が行く事になり救急車へと乗せられた。
松下に言われたからだった。
それから救急車は、サイレンを鳴らしながら出発した。
校門を出てしばらくすると亜季ちゃんとの待ち合わせの場所に差し掛かっている事に気付いた。
あっ!?
慌ててたから、亜季ちゃんに連絡するのを忘れていた。
スマホを鞄から取り出していると、目の前には待ち合わせの場所が…‥。
でも、そこには亜季ちゃんの姿はなかった。
いくら待っても来ないから、怒って帰ってしまったのかもしれない…‥。
鞄から取り出したスマホを見るとメールが1件受信されていた。
《こんにちわ。今日は瑛太さんは忙しい様なので先に帰ります。会えないのはチョット寂しいけど我慢します。病院から戻ったらメールして下さいね》
亜季ちゃん…ゴメンね。
僕は誰にも聞こえないくらいの声で呟いた。
そして救急車が学校を出てから10分位が経った。
どうやら隣町のW大学病院に向かっているらしい。
しばらくすると予想通りW大学病院に到着し、千葉はそのまま手術室に運ばれ緊急手術が始まった。
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