テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


キッチンに立ち、彼と並んで料理の下ごしらえをする。


「このトマトも、お願いできますか?」


受け取って包丁を下ろそうとしたら、刃が皮膚を薄く削いで指を切ってしまった。


「痛っ…」


蛇口をひねり滲む血を水道で洗い流そうとすると、


「大丈夫ですか?」


咄嗟に、指を唇に咥えられた。


「あっ…」


指先にちゅっと吸い付かれて、顔が赤らんでくる。


「あの…先生…もう、いいので……」


恥ずかしさに引っ込めようとするも、


「まだ、血が出ていますから」


再び引き戻され目の前で口に含まれて、僅かに血が出ている傷口をぴちゃりと舌先で舐められた。


「先生…やっ…もう……」


電流でも走るようなビリッとした感覚が襲う。


そのまま指を上から下へ舌でなぞり、付け根を甘噛みをすると、ようやく唇を離してくれた。


「……もう、」


真っ赤になって抗議するように尖らせた口に、すかさず「ん…」と唇が寄せられて、顔がよけいに火照ってくる。


「……先生、料理が、まだ途中で……」


冷蔵庫のドアに背中が追い詰められて、


「少しだけ、おあずけにさせてください」


上向けられた顔に唇が重なる。


「……ん…っ」


「そんなにそそる顔をされたら、放っておけなくなる」


指の間が組み合わされ、両手の甲が冷蔵庫に押し付けられて、より深く口づけられ息もできない。


そこへ、鍋が噴くボコボコという音がして、


「……お鍋っ!」


声を上げると、彼が火を止めて、


「思わぬ邪魔をされましたね」


鍋の中身を掻き混ぜて、ふっ…と口角を引き上げた。


──二人で作った料理を食べながら、お酒を飲む。


「……どうして、ここに別荘を?」


この界隈はよく知られた別荘地だったけれど、此処は密集地からは少し外れていて、彼が言っていたように標高も割りとあるようだった。


「どうしてかは、いずれ……」


「まだ、秘密なんですか?」


行く前にも確かそんな風にも言っていたことが、ふと思い出された。


「そう…秘密です」


言って笑む彼の顔が、まるで秘密基地を隠そうとする少年のようにも、どこか垣間見えるようだった──。




「責め恋」美形な医師は、サディスティックに迫る

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

2

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚