お酒を嗜みながら話す時間は愉しくて、胸の奥でずっと燻り続けていた気分も、いつしか晴れていくようにも感じられた。
……だけどお酒が進んでくると、なぜだかまたやるせないような気分が喉元を込み上げてきて、
私は、自分の中で整理もし切れてない気持ちを、酔いにまかせて、いつの間にか政宗先生に向かって吐き出していた……。
「……先生、……私、思うんです……」
「何をです?」
「……先生は、私とで、本当にいいのかなって……」
「どうして、そんなことを?」
「……だって、先生と私は、違いすぎるのに……」
「違う? 何が…」
「……いろんなこと……価値観も、環境も…考えることも…みんな……。
先生は、何でも完璧にできて……何でも持っていて……。
……なのに私は、何にもできないし、何も持ってもいないのに……」
さっきも料理中に手を切ったばかりなことが、苦く頭をよぎる。
「……それで?」
「だから……本当は、合わないんじゃないかって……先生は、自分と違いすぎる私なんか……本当には、好きなんかじゃなくてと……」
そこまで話して、氷の溶け切った水割りをごくっと飲み込むと、口当たりの悪い生ぬるいアルコールの味わいがじわりと喉の奥へ広がった。
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