莉犬side
部屋に広がるコンソメの匂い。
浮上した意識と共に体を起こせば扉の向こうからさとみくんが顔を出した。
「莉犬おはよ」
「調子はどう..?」
さとみくんは目線を合わせるようにしゃがんだまま俺の頭を優しく撫でてくれた。
それだけで安心して心が暖かくなる。
「…ちょっと頭痛い..」
原因は泣きすぎたことだろう、。
泣いてしまうのはいつもの事だけど、あそこまで泣いたのは久しぶりだ。
おかげで頭痛になってしまった。
「コンソメスープ作ったけど食べる?」というさとみくんの問いかけに頷いてベットの上でさとみくんを待った。
キッチンの方からする物音にさとみくんが居てくれてるのだと嬉しくなる。
2人分のスープを持ってきて俺の隣へと腰掛けるさとみくん。
渡されたスープ。
さとみくんの作った、俺の大好きなスープ。
器に口をつけて1口飲み込んだ。
美味しい。暖かい。
でもそれだけじゃない。
さとみくんの傍にいると心が暖かくなる安心して何も考えられなくなる。
催眠にでもかけられてるみたいだ。
…あまりちゃんと覚えていないけれど、眠る前俺はさとみくんに勢い余って恥ずかしいことを言ってしまったような覚えがある。
なんであんなこと。
恋人でもないのに、恋人にするような願い事。
…恋人。こいびと。
いつかはさとみくんにも…
今は俺だけ、かもしれないけど、いつかさとみくんに好きな人でもできて俺の事どうでも良くなちゃったら。
今回のことで痛いほどわかったんだ。
ずっとなんてないって、俺にはさとみくんを俺の元に縛り付ける理由がないんだって。
これ以上のわがままはいけないよね。
なんてわかってるけど。
「どうした?莉犬」
俺の不安も辛いもすぐに気がついていつも1番に声を掛けてくれるさとみくん。
「…俺にできることならなんでも言って欲しい」
あぁまたこうやって君に絆されていく。
「…さとみくん。あのね、」
「おれ、、俺。ずっとさとみくんと居たいって言うのはさ、、わがままかな…」
「さとみくんとずっと、ずっと、一緒がいい。さとみくんに恋人が出来たらって考えたら苦しいよ」
「さとみくんがいいの。さとみくんじゃないと嫌だよ」
「…なんてごめん俺。おかしいよね、迷惑だよね、、」
分からないんだ。なんでこんなこと思うのか。俺にはさっぱり。
さとみくんと出会う前はだれでも良かったはずなんだ。でも今は、さとみくんじゃなきゃ嫌だ。さとみくんがいい。
頭を撫でるのも抱きしめられるのも全部全部。
「莉犬。おいで」
広げられた手に何も言わずに抱きついた。
心臓の音。
安心する。
「ねぇ莉犬。俺もだよ」
「一緒にいよう。ずっと」
頬に触れた暖かい手の平と唇に触れた優しい感覚。
この気持ちの正体が愛なのだと君のお陰で知れたこと。
コメント
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2人の思いが重なって幸せな恋人同士のように見えて尊いけど、桃くんがストーカーなことや赤くんを依存させたのは計画ってことが今後バレるのかどうなのかすっごく気になりました!!桃くんも赤くんもお互いが結ばれて内心言葉じゃ表せないくらい幸せで嬉しいんだろーなぁ、、今後の展開楽しみです!!