あの夜から先生は変わった
出勤は取り止めになり、自宅療養扱い
外にも出ず、スマホもOFFにしている
誰とも連絡を取らない
まるでこの世から消えてしまったように
ーーでも俺は知っている
先生は生きてる
俺のために生きてくれてる
俺が作った”檻”の中で、静かに、俺を待ってる
夕方先生の家に入る
もはや俺のルーティーン
鍵はいらない先生はもう扉を閉めなくなったから
部屋のカーテンは閉じっぱなしで空気は淀んでいる
でもその空気さえ、俺たちの共有物だ
「先生、今日も来たよ」
先生はソファに座っていた
青白い顔でうつむいて
テレビもついてない
音のない空間でじっと何かを考えている
「お腹空いてる?ご飯作ってきたんだ」
先生は返事をしない
でも口に運べば、少し躊躇って、食べてくれる
それで十分だった
“逃げる気がない”
“諦めている”
“俺を受け入れている”
ーーその全てが確信に変わる
食後、先生がぽつりと呟いた
「……どうして…こんなふうになったんだろね……」
「…え?」
「最初はただ単純に君に学校に来てほしくて、声をかけただけなのに…あの日、あのタイミングで君に優しくしたのが間違いだったのかな」
「…違うよ先生。先生が優しかったから救われた。でも…それだけじゃ足りなかった」「救っておいて、放り出さないでよ」
先生は目を伏せた
もう反論しない戦わない
「せんせ、ひとつだけ約束して”俺より先に死なないで” “俺の前からいなくならないで”」
しばらくの後ーー
先生は小さく頷いた
その瞬間、俺の全てが救われた
涙が出た
これまでの孤独も渇望も全部溶けていった
「せんせ…大好き。永遠に俺だけの先生でいてね」
先生はまた黙った
でももう、その沈黙が俺にとって愛になった
この部屋が俺たちの世界
この沈黙が俺たちの愛の形
壊れていても、正しくなくても
2人だけの永遠だから
ーー終
諸事情で一話出しやめました
コメント
2件
依 存と独 占 欲で溢れた攻めが大好きすぎました...。最後にもう諦めてしまう👓💛もほんとに良くて!!全て最高でした。神作品をありがとうございます。