少年レイ
いつもの帰り道。
カンカンと踏切の音が鳴る。
踏切さえ超えれば家なのに。
嗚呼、また思い出してしまった。
忘れもしない…
あの夏の日を……
「おーい!おっせぇな〜…」
ギラギラと太陽が照りつける夏。
君と帰る昼頃。
夏休みに入る日が今日だった。
元気でクラスの人気者の彼と、休み時間を本で潰す影な僕。
何故一緒にいてくれてるのか、今でも疑問に思うことがある。
彼の性格が太陽のように明るいから僕も笑顔になってしまう。
「陰キャの癖に」「__と居るな」
そんな言葉はたくさん聞いてきた。
でも、彼はずっと僕といてくれた。
そう言ってくるやつに抵抗もしてくれた。
僕にとって彼は太陽であり、救世主であり、
可愛い彼女でもあったのだ。
好きだと聞いた時はなにかのドッキリかと思ったが、耳を真っ赤にした姿は本気だと察した。
僕は断る理由もなく、というか彼に恩しかないからお付き合いを始めた。
彼と行った場所は全て僕の鮮やかな思い出になった。
1番の思い出は夏祭り…かな。
かき氷を食べて。
射的をやって。
変なお面を買って。
花火を見て。
初めてのキスもその日。
お揃いのキーホルダーだってそうだ。
「やっぱ俺、お前大好きだわ……//」
風鈴のような涼しさもありながら、心に染み込む温かさもある。
彼の言葉が、僕は大好きだ。
僕は彼の事が大好きだ。
だけど一つだけ、嫌いな部分もあるんだ。
それは
なんでも溜め込むこと。
なにかあったら言ってねって耳にタコができるほど言ったのに。
悩んでるなら力になるよって言ったのに。
なんで、
なんで…
僕だって気づいてた。
日に日に傷が増えていくのを。
何かあった?って毎日のように言った。
答えは全て一緒で
「なんでもないよ、大丈夫!」
紙で指を切ったとか、体育で怪我したとか、喧嘩してるとこ止めようとしたらとか
嘘だってバレバレなのに、
彼はなんにも話してくれなくて。
彼氏なのに。
なんでも話せるような仲なのに。
悔しさで涙が止まらなくて。
踏切の音が嫌いだ。
亡くなった彼を思い出すから。
帰り道にあるのが最悪だ。
毎日毎日、踏切の前で気持ち悪くなる。
「……なんでだよ…馬鹿……」
そう言った時彼がいた気がするんだ
そして
「麗なら大丈夫!」
……と、
僕は優がいないとダメなのにな……
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ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙好きッッ()