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瑠璃🍫✨💭ྀི
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「いやさ、別にいいんですけどね。何でしょう、この気持ち」
「あーな。わかるわ。俺も元奥さんの再婚飲み込むのに時間かかった。気持ちがあるわけじゃなくても。そういうもんだ」
休憩中、コンビニで買ったコーヒーを片手に歩きながら橘さんに愚痴る。
私の一番最近の元カレ――結婚はまだ早いかなと別れた彼が若い子とデキ婚したのだ。それをわざわざ、今、ご丁寧にメッセージで報告してきたことを我慢できずに橘さんに愚痴っていた。
「わざわざ言いたい心境って何でしょう。既読無視でいいですよね。ああ、でもそうすると悔しいみたいだし。でも私の近況なんて教えたくないしな」
「いや、心境は俺にもわからん。無視でいい、無視で。にしても人生ってわからんもんだよな、東谷。お前だってあんなイケメンと結婚する予定なかっただろ」
“あんな年下”じゃなく“あんなイケメン”て言ってくれるところに橘さんの愛を感じて微笑む。
「あ、まあ。はい。今私が幸せじゃなかったらもっと荒れてた自覚あります」
「幸せ……って俺に言うかね」
橘さんは肩をすくめたけど、私が顔で抗議すると苦笑いを返して来た。大して困ってないくせに、と心の中で毒づく。急に橘さんがバッと後ろを振り向き「先に帰るわ」と急ぎ足で過ぎて行った。おかしくて吹き出す。
しばらくすると、沢田さんが私に並んだ。
「東谷さん、橘さん見ませんでした? 」
「あー、えっと、さっき会社に戻って行ったけど」
「えー、もう。朝から送ったメッセージまだ未読ってわざとですかね」
「プライベートは私もよく……」
「まあ、いいや。まだ休憩時間残ってるし、探してきまーす」
沢田さんはさっきの橘さんより早く会社のビルへと走って行った。あの速さでは沢田さんが追いつくな、などと思う。
にしても、人生ってわからないものですね、橘さん。
「頼む。頼むって東谷。飯、飯に付き合ってくれ。もう限界なんだ」
後日。そう言う橘さんに冷ややかな視線を返す。
「嫌ですよ、私の婚約者がいい顔しませんもん」
まあいい顔しないのは事実だけど広睦くんは今となってはもう気にしないだろうとは思う。
「何ならその婚約者も呼んでいいから、頼む」
「巻き込まないで下さいよ。私、沢田さんと隣の席なのに嫌われたくないですって」
「そこを何とか、バレないように、裏口から出て……」
「うちの会社裏口無いですって、あるの非常口だけ」
「いいから、いいから。今すぐ出て、店で待ち合わせ。な? 」
「はーもう、めんどくさいなぁ」
そう言いながらも私は橘さんに従う。どうも橘さんには弱い。あと、ちょっと面白いから、と言うのもある。
ことの顛末はこうだ――――。
「悪かった、東谷」
食事に行った橘さんが唐突に私に謝罪した。
「何がですか」
「『俺はいいと思うけどなぁ』なんて安易に言ったことだ」
「ああ、はい。『いいんじゃない? って思うけど。男側ならそのくらい年下でも『お前上手くやったなぁ』なんつってニヤニヤされるだけだわ』って言ったことですね? 」
橘さんはうぐっと言葉に詰まった。
「私は、あの時の言葉にすごく救われたんですよ。だから橘さんにはすごく感謝してますよ」
「……いやぁ、きついって。さすがに」
「それ私に言います? 」
「だからー、どこか他人事で当事者になったら厳しいなって痛感してお前に謝ってるんじゃないか。だから、何とか沢田さんに諦めるようになだめてくれないか? 」
「ええー、私はいいと思うけどなぁ」
にっこり笑うと橘さんは泣きついてきた。
「東谷ぁ、お前面白がってるだろう。12歳差だぞ……」
「いい子ですよ、彼女」
「そうだけど。わかってるからこそ、こう穏便に……」
「まあ、頑張ってください」
なかなかお似合いだと思う。私はどっちの味方もしない。
コメント
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読み終わりました!このエピソード、すごく好きです。橘さんと東谷さんのやりとりが絶妙で、特に「俺はいいと思うけどなぁ」の言葉が今になって自分に返ってくる展開、じわじわきますね。12歳差の沢田さんに追いかけられる橘さんが「穏便に」と泣きつくシーン、笑ってしまいました。人生ってわからないものだなぁ、というテーマが軽やかで温かい。お似合いだと思うけど味方はしない、というスタンスも東谷さんらしくてほっこりします。