テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

白菜 様より、中韓で日の取り合い























極東の5カ国は、 アジアの中でも仲が良い。

確かに領土問題は数あるが、死人が出るような戦争が起きるわけでも、国交を断つほど恨むこともなく、ただいがみ合っているだけ。

なんなら、それはあくまで国としての話。

個人的な話で言えば、彼らはとんでもなく仲が良いのだ。

一緒に食事をしたり、出かけたり、果てにはお泊まりしたり。

今回は中国と韓国が、何やら争っているようだ。


「だぁから、日本は僕のだってば!僕と出かけるの!!」

「話のわからないやつですね、出かけるのも日本の所有権を持っているのも私です」

「僕はものでは…」

「「黙っててくれる!?/くれます!?」」

「ハイ」

どうしてこうなったのか、それは1時間前まで遡る。





その日の日本は珍しく休日だった。

ドイツを含め、あまりのブラックさにイタリアが配慮し、部下を使って色々(意味深)したのだ。

結果、社畜2人になんと1週間の休みが与えられた。

最初の3日は溜まっていたゲームや漫画を徹夜で消化し、4日目は一日中寝まくり、5日目はただダラダラとSNSを見て過ごし、今のところ、中々に充実させている。

だが、ひとつだけ問題があった。

対人関係の通知を全て切っていたことである。

LINEや電話は音が鳴るだけで動悸がしてしまうので、全て遮断していた。

そんなことを知らない中国と韓国は、メンヘラのようにLINEを送りつけ続けているというのに。

内容は以下の通りである。

『今度私と出かけませんか』

『休みをもらったんですよね?』

『未読無視ですか』

『既読くらいつけてくださいよ』

『あなたっていつもそうですよね 』

『電話も無視しないでください』

『それも駄目って言うんですか?』

『何か答えろよ』

『早く』

『出かけませんかって言ってるだけでしょう』

『家に行きますからね』

『未読無視やめてください』

『もう決めました、家行きます』

『何もないなら連行します』

と、中国は段階を踏んでメンヘラインし、韓国は

『今度遊ぼ!』

『は?僕のLINE無視すんの?』

『ねえ遊ぼってば!』

『何?未読無視とか面白くないって』

『遊ぼうよ‼️』

『早く既読つけろよ、読め』

『電話出ろ』

『何かあったの?大丈夫?』

『風邪とか引いた?看病いる?』

『早く読めってば!』

『お休みなのに僕のこと無視するんだ?』

『今から家行くから』

『何もなかったら許さないからね』

『反応くらい返せよ!!』

と、まあ情緒不安定な優しさと怒りを交互に出したメンヘラインを送っていた。

これは数日間で溜まったものであり、間には更に色々言葉を投げかけているが、日本は一切気が付かなかったのだ。

LINEやメールは1番よく見る画面から追放し、通知も切っていた。

怒りと不安に突き動かされた中国と韓国は家に押しかけ、そのタイミングが被ってしまっただけなのだ。

つまり、全てにおいて日本が悪い。

ゴロゴロと床に転がっていたところ、なぜか突破された玄関から中国と韓国が現れ、日本と出かけるのは自分だと争いを始めた。

『僕ってば罪な男♡』と書かれたダサTを着ていたら、本当にその通りになってしまい困惑である。




そんなわけで、日本を巡って中韓の争いがスタートしたというわけだ。

「あ、あの、3人で出かけるというのは…」

「黙れと言ってるでしょう?これは私と韓国の争いであり、小日本如きが口を出して良いことではありません」

内容は自分日本と遊ぶ権利についてなのに…

「ほんっと意味わかんない。お前はこの前日本と遊んでたの知ってるんだからね!僕に譲れ!」

「弱小国家に譲れですって?絶対に嫌です。私が日本と遊ぶんですから」

ふふんと日本の肩を抱いて煽る中国に、韓国は言いようのない強烈な怒りを感じた。

「この野郎…ちょっと強いからって…」

元々フラストレーションが積み重なっていた韓国は、このまま戦争を仕掛けそうな勢いだ。

「…ふん!話し合いが無駄なら、強行突破すればいいん だよ!」

そう言って日本の腕を掴み、韓国は中国から引き剥がした。

「さ、こんなやつ放っといて僕と遊ぼ?」

「そうはさせませんよ!この泥棒猫が!」

「ちょっ!?」

日本を奪われた中国はグッと腕を掴み、韓国から取り返そうと引っ張る。

韓国も奪われるわけにもいかないので、自分に近い方の腕を思い切り掴み、引っ張った。

軍事力世界3位と5位が引っ張り合えばどうなるか。

答えは簡単、間の日本が悲鳴を上げる。

「ギャァアアアア!!死ぬ死ぬ死ぬ!!!千切れる!!!!マジのガチで千切れる!!!!関節いかれまんがな!!!!」

悲鳴にしては野太く可愛くない叫び声を上げるが、必死な2人の耳には全く入っていない。

一部ネタも含めているので、案外余裕そうだ。

「離せよ!!」

「そっちが離してください!!日本が千切れるでしょう!?」

「そこまでわかってるなら離して欲しいな!!!両方ね!!!」

「「嫌!!!!」」

「そっかぁ仕方ないかぁじゃないんだわ!!本当に千切れるからやめて?!?!」

軍事力ランキング7位である日本は、この2人に勝つことはできない。

せいぜい本当に腕が千切れないよう堪えるくらいしかできず、諦めてくれることを期待するのみ。

先程までダラダラと静かに平和に過ごしていたのに、家の中はあっという間に騒がしくなった。

まずい、中国が力を強めてきている。

「ちょ…あの…ちぎれりゅ…」

本当に腕が千切れるかと思われたその時、高い声が場に響く。

「お兄ちゃーん!パフェ食べに行こー!」

「「「にゃぽん!! 」」」

「およ?中国さんと韓国じゃん。てかお兄ちゃん腕伸びてね?」

突然妹が襲来してきたことで、中国と韓国の手が緩む。

これ幸いとばかりに日本は振り切り、なんとか千切れることは避けられた。

「妹よ、お兄ちゃんは生還したよ…!!」

「???よくわかんないけど、おめでとー!」

「日本が離れてしまいました…」

「にゃぽんが羨ましい…」

にゃぽんは兄と共に甘いものを食べようと思って来ただけなので、いまいち状況が掴めない。

「あ、そーだ!韓国たちも一緒にパフェ食べに行こ!ハイパーストロベリーパフェ、今だけなんだ〜!」

「あぁ、前に言ってたやつ?あれ美味しそうだよね」

「うん!2人もどう?」

日本はこのままだとにゃぽんと出掛けに行ってしまうだろう。

中国も韓国も数日前から遊ぼうと言っていたとはいえ、それは認知されていないことなのだ。

「…私は行きます」

「僕も行く」

不服ながら取り合いは終わり、中国、韓国、日本を率いて、にゃぽんはカフェへと向かうのだった。






たどり着いたパフェの看板や貼り紙には『今だけ限定!山盛りいちごのハイパーストロベリーパフェ!』という文言と、赤色と桃色に彩られたパフェの写真が載っていた。

にゃぽんと日本はそのいちごパフェを頼み、韓国はチョコレートパフェ、中国はブラックコーヒーを頼んだ。

「わ、でか。めちゃくちゃ美味しそうだけど…食べ切れるかな」

「乙女の夢だぁ!カロリーなんてしーらない!」

「このパフェより一回りくらいサイズ違くね?」

「高いだけはありますね」

届いたものは巨大なパフェが二つと、小さなパフェ一つ、そしてコーヒーの入ったカップ。

メインであるいちごやいちごソースの他、アイスにクリームにクッキーにとかなりの重量がある。

とにかく甘さを追求したようなパフェで、いちごの酸味と合わせればとても美味しい。

対して、通常メニューのチョコレートパフェのサイズや値段は約半分ほど。

白いクリームにチョコレートソースがかかっており、甘すぎず苦すぎずくどくない絶妙なラインだ。

スプーンでちまちま減らしていく3人を、コーヒーを飲みながら眺める中国。

まあ日本と出かけられたからいいか、と普段の落ち着きを取り戻した。

「ん〜、美味しい!お二人も一口いかがです?」

答える前にずい、と突きつけられたスプーンに乗るのは、いちごの果肉とソースのかかったバニラアイス。

「食べるとは言っていませんが…いただきます」

一口でスプーンのものを頬張り、あまりの甘さに驚いた。

コーヒーを含んで丁度良いくらいだ。

甘いものは苦手ではないものの、よくあれだけの量を…と少し引いた。

相変わらず、あの小さく細い体のどこに入っているのかわからない。

「韓国もどうぞ!」

「え、あ…あむっ…甘…」

勢いで食べた韓国も甘かったらしいが、美味しかったようだ。

もう一口だけ、と言って追加をもらっている。

韓国の顔が若干赤い。

中国は気がついた。

日本が使っていたスプーンで一口もらったのだから、あれは間接キスではないか?と。

そういう面では頭の回る韓国のことだ、甘いものはそこまで得意じゃないくせに、日本と間接キスがしたいからという理由でパフェを強請り、挙句にはあーんまでしてもらうという算段なのだろう。

「…日本、私にももう一口ください。コーヒーとよく合うので」

「!?!?」

「そうなんですか?どうぞー!」

果肉を食んでからコーヒーで流し込み、ニヤリと韓国を見つめる。

不快そうに眉を顰めながら、パフェを頬張っていた。

「コーヒーと合うなら、パフェのお返しってことで一口くれません?」

「いいですよ。ブラックですけど、まあ日本なら平気ですよね」

「何年社畜してきてると思ってるんですか〜!当然飲めますとも!」

小さな口にパフェを含んで、中国のコーヒーを一口。

ゴクンと飲み込んだのち、日本はコーヒーを追加で注文するのだった。


そんなちょっとした争いも密かに行なわれながら、今回の中韓による日本争奪戦は幕を閉じる。

しかし、お兄ちゃんお願い♡と言って自分の分を兄に奢らせたので、勝者はにゃぽんだ。

後日、もう一度第二次日本争奪戦が始まるとは、パフェで満腹になった日本は知る由もない。

loading

この作品はいかがでしたか?

1,044

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚