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登子 流華「…うわ〜っ!またジョーカー引いちゃった〜」
石井 千年「十分考えて混ぜてね。当てちゃうかもだから」
棚にストックバスケットがあってその中にメモ用紙、ボールペン、トランプがあったうちのトランプを手に取ってこれで暇を潰すことにした。
子糸と次郎君も誘おうかと思ったけど、誘って、仮に係の人に見つかって各自指定された場所へとか言われてしまうかもしれないと思った私達は2人ですることにした。
私の知っているトランプの遊びは絶望的にラインナップが低くババ抜きと大富豪しかない。
それに比べて千年ちゃんは沢山知っていて、色々提案してくれたが、私が無知な故に一番無難なババ抜きにしてくれて今は3回目の終盤。
石井 千年「…ここ!」
登子 流華「あっ」
石井 千年「…よし、あがりだね」
登子 流華「ははっ、千年ちゃん強いね〜!私、、1回も勝ってない…」
石井 千年「ただの運任せだよ」
登子 流華「でも3回連続はすごいよ。はぁ〜こうさ〜ん!」
白旗をあげた私は畳の上で大の字になった。
石井 千年「…私ここの旅館始めてくるんだ。地下なのに景色、すごく綺麗だよね」
千年ちゃんはその場から立って窓際に移動した。私も気になって窓の方に向かう。
登子 流華「ほんとだ」
そこには石段のところで見た景色の少し真上から見ているような感じだった。
辺りは暗いけどその中に、オレンジ色の光が町を照らす。いつ見ても綺麗だな〜。
でも唯一困るのは天気。時計がない時は空見て大体の時間帯は把握できるのだが、ここはずっと暗い。
石井 千年「地上でもこんな感じ?」
登子 流華「ううん。ここみたいにずっと暗いままじゃなくて朝と夜ごとに、空が明るくなったり暗くなったりするんだ」
石井 千年「じゃあ今は?地上でいう朝と夜のどっちなの?」
登子 流華「夜かな」
石井 千年「これが夜か〜。地上では雨が降ったり、雷が降ったり、風が吹いたり、夜は星が見えたり。私、星見たいな」
登子 流華「ここから出ないの?もしかして閉じ込められてるとか?」
石井 千年「いいや出口、、分かんない。どうやって出るの?花屋からは建物で遮られて見えなくて…」
登子 流華「そうなんだ…。いつか出ようよ!」
石井 千年「連れてってくれるの?楽しみ」
登子 流華「私もずっとここにいる訳じゃないからね」
石井 千年「行くなら次郎も連れて行きたい。けど…無理かな…」
登子 流華「どうして?」
石井 千年「あの子、一回地下を離れて商売しようと出たの。そうしたら2日足らずで帰ってきたの。訳を聞くと、お前は外出ちゃダメだって。酷いことされるって。体ボロボロだったよ」
登子 流華「ひ、酷いこと?!」
石井 千年「なんか、地下町の人間だからって古臭いだの町の発達が遅れてるだの言われたみたい。馬鹿馬鹿しいよね。でもこれは前からずっと一部の間で言われ続けてる」
登子 流華「私は全然いいと思うけども…。こういう愚痴ってこの地下町以外でも有名なのは不協都市だよね」
石井 千年「あの、協合都市と対になってる場所の事だよね。私聞いたことあるよ」
登子 流華「あそこも差別されてるよね。厳重に警備されてる」
石井 千年「あそこよりかはまだマシなのか…な」
千年ちゃんはさっきから路地の方を見つめている。
登子 流華「左側は…人けがないね。多分路地かな?」
石井 千年「………」
登子 流華「…ん?どうしたの?何かあったの?」
そう聞くと、一瞬固まってそれからこちらへ振り返ると、歯切れ悪く返した。
石井 千年「いや、、、動物かな?にしては大きい…」
コンコンコン!
突然、ノック音が聞こえてきた。
ガチャッ
従業員A「廊下に並んでちょうだい!」
登子 流華「はい!」
私達は、靴を履いて廊下へ出ると既に隣室にした次郎君が立っていた。それに続けて私達も横並びになった。
近藤 真希美「お待たせ、私は盛業旅館の従業員、近藤 真希美、よろしく。赤羽君から順番に担当場所を教えるから。まず、赤羽君は退室された部屋の掃除。石井さんは受付。登子さんはまたこの後仕事があるわ。それまでもう少しだけ待っててくれない?申し訳ないわ」
登子 流華「いえいえ、大丈夫です!」
近藤 真希美「その待ってる間に男の子を見張っててほしいの。お願い出来る?」
登子 流華「任せてください!」
近藤 真希美「じゃあ、よろしく。2人ともついてきて。それぞれの担当に先輩が配属されているから、その先輩の指示をよく聞いてね」
石井 千年「じゃあね、流華ちゃん」
赤羽 次郎「子糸の世話頑張れな!」
登子 流華「うん。任せて」
……さて、と。子糸のところへ行こう。部屋内の物荒らしてないといいけど…。
ここの部屋以外にもトランプあるかな?あったら一緒にしよう。
あ、でもあいつトランプしたことなかったんだっけ…。1から教えないと。
かるたぐらいしかしたことないからなー。
ガチャ
登子 流華「子糸〜!流華お姉ちゃんが来たよー」
…静かだな。寝てるのかな。まったく、疲れたらすぐ寝ちゃうんだから。
スッと襖を開けると、窓枠に立っている子糸がいた。
登子 流華「危ないよ!何で、」
すると子糸は手を離しふらっと窓から落ちた。
下!?落ちたの?!
私は慌てて、窓へ近づき見下ろす。
登子 流華「…あれ?……いない」
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