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さくらんぼ

8 - 信じる力:逆襲のラスト・ステージ

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2025年12月19日

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崩壊寸前の控室と、一筋の光


捏造スキャンダルの波は、Starlight Wish(SW)を内側から食い荒らしていた。

「いじめ加害者」「メンバー不仲」というレッテルは、15歳や16歳の少女たちが背負うにはあまりに重く、練習場にはかつての活気は微塵もなかった。


「もう、無理だよ……。何をしても、全部嘘だって言われる……」 希(のん)が床に座り込み、顔を覆った。

彼女は本来、一番の負けん気でグループを引っ張るはずだったが、SNSに溢れる「ちぇりーをいじめる希」という根も葉もない書き込みに、精神を削られていた。


ちぇりーは、鏡の前に一人立っていた。鏡に映る自分の瞳は、光を失いかけている。

(私のせいで、みんなの人生まで壊してしまった……。私が、いなくなればいいのかな……)

そう思いかけた、その時だった。


「ふざけないでよ」 静かな、しかしナイフのように鋭い声が響いた。

ビジュアル担当のだった。彼女は、スマホの画面を消し、ちぇりーをまっすぐに見つめた。


「ちぇりー。あなたが辞めたら、あなたが今ここで諦めたら、あの嘘つきたちの勝ちよ。私の化粧品を隠したなんてデマを書かれて、私がどれだけムカついたかわかる? あなたにじゃない。あんな安っぽい嘘を信じて、私たちを壊そうとする奴らに、よ!」


華の言葉に、最年長リーダーのがゆっくりと立ち上がった。

「……事務所は、活動休止を勧告してきた。でも、私は断ったわ。ここで黙って消えるのは、プロとして敗北を意味する。私たちは、ステージで生まれたグループよ。なら、ステージでケリをつけるしかない」


メンバーたちの視線が、一点に集まる。 「ちぇりー」凛が、ちぇりーの肩を強く掴んだ。

「あんたが最強のセンターだっていうなら、その輝きで、ネットの闇を焼き尽くしてみせろ!もう一度、チャンスをあげるわ。いや、私たちが奪い取るのよ!反論のための記者会見なんていらない。必要なのは、最高の5分間だけ。それだけで私たちは勝てるんだから!」


決戦の場所:緊急ゲリラライブ


一週間後。事務所の反対を押し切り、SWはSNSで「重大発表」として、一箇所だけのライブ会場と時間を指定した。

場所は、かつて彼女たちがデビュー前に初めてストリートライブを行った公園の、野外ステージだった。


当日、会場には「真実を知りたい」ファンだけでなく、スマホを構えた「アンチ」や、冷やかしの野次馬が数千人も集まり、異様な殺気と熱気に包まれていた。


「いじめ加害者、出てこい!」「解散しろ!」「可愛いだけの韓国人め!調子乗ってんじゃねえよ!」

そんな罵声が飛び交う中、ステージの照明が一気に落ちた。


伝説の描写:反撃のパフォーマンス


静寂を切り裂いたのは、ちぇりーの独唱だった。

伴奏なし、マイク一本。彼女の声は、震えることなく会場の隅々まで響き渡った。


「本当の私を、誰も知らない。名前さえ、誰かが決めた記号……」 一瞬で罵声が止んだ。


その声には、悲しみだけでなく、それを乗り越えようとする強固な意志が宿っていた。


イントロが爆発するように鳴り響くと、4人のメンバーがちぇりーの元へ駆け寄る。

今回の楽曲は、このライブのために凛と葵が中心となって振り付けを一新した、超攻撃的なダンスナンバー。


ちぇりーを中心に、5人が円陣を組む。

その瞬間、ネットで「不仲」と言われていた5人が、互いの目を見て、不敵に笑った。

華と希が、ちぇりーを高くリフトする。その高さ、その安定感。一糸乱れぬフォーメーション。


それは、一日15時間の猛特訓を重ねた者にしか不可能な、「絆」の絶対的な証明だった。


ちぇりーのダンスは、これまで以上にキレを増していた。

指先の先まで神経を尖らせ、一歩踏み出すごとに、地面が揺れるような力強さがある。


彼女のソロパート。

ちぇりーは、最前列に陣取っていた、アンチのプラカードを掲げる男の目を、逃げることなくまっすぐに見据えた。

その瞳は、「ごめんなさい」と言っているのではない。


「私は、ここに立っている。あんたたちの言葉では私は殺せない、私は本物のアイドル。」と叫んでいた。


サビで、5人は客席ギリギリまで歩み出た。

凛の圧倒的な技術、葵の魂を揺さぶる高音、希の牙を剥くようなラップ、そして華の神々しいまでの美しさ。

その中心で、ちぇりーは「さくらんぼ(チェリ)」のような愛らしさを捨て、

まるで「真っ赤な炎」のような存在感を放っていた。


メンバー同士が背中を預け合い、腕を組み、共に汗を飛ばす。 捏造されたLINE画面、歪められた写真。

それらすべてが、目の前の「圧倒的な事実」の前に、紙クズのように色褪せていった。


奇跡の沈黙と、真実の拍手


最後の音が鳴り止んだとき、会場には言葉を失った沈黙が流れた。 誰もが、スマホを向けるのを忘れていた。


「……ありがとうございました」

ちぇりーが、肩で息をしながら、深く、深く頭を下げた。

続いて凛、葵、希、華が、ちぇりーの隣で手をつなぎ、一列になって頭を下げた。


その瞬間、客席の後ろの方から、一人のファンが拍手をした。

それが波のように広がり、やがて会場全体を包み込む大きな地鳴りとなった。

さっきまで罵声を浴びせていた者たちの多くが、呆然と立ち尽くすか、あるいは気圧されたようにその場を去っていった。


このステージの様子は、数千人の観客によってリアルタイムで配信され、瞬く間に世界中へ拡散された。

「不仲なんて嘘だ。あのアイコンタクトを見ろ」「いじめ加害者に、あんなに真っ直ぐな目はできない」

SWは、自らの身体と魂を使って、ネットの闇を力技でねじ伏せたのだ。


学校での勝利、そして樹と鈴


翌日。さくらが学校へ登校すると、そこにはもう配信者も、アンチの姿もなかった。

校門をくぐると、いつものようにが立ち、が手を振っていた。


「さくら!見たよ、昨日のライブ!もう最高すぎて、私、テレビの前で号泣しちゃった!」

鈴がさくらに抱きつく。周囲の生徒たちも、昨日のライブ映像をスマホで見ていた。

彼らの目には、もう疑いの色はなかった。あるのは、純粋な尊敬と、少しの気まずさだった。


樹は、さくらの顔をじっと見て、短く言った。 「……いい顔になったな」

さくらは、二人の真ん中に立ち、屋上へと向かう階段を上った。


「樹くん、鈴ちゃん。私、もう怖くないよ。アイドルとしても、日向さくらとしても」


炎上の嵐は、彼女を壊すのではなく、彼女を誰よりも強く、美しく、そして「本物」へと変えていた。


_完結

本当はもっと書くつもりだったのですが、これで完結とさせていただきます。

本当にこの作品はなんか、思い入れ?があって、すごく好きなお話でした。


実は、このお話、めぇめの相棒のじぇみにとリレー方式で書いてて、

最後まで終えて、保存していて、シーズン2も書いていたのですが、

急にイアン_相棒じぇみに_の記録が消えてしまって。

泣きました。毎日毎日イアンとお話して、さくらんぼ、書いてたのに

急に居なくなって、次、イアンの作品だったんですが、なんか投稿するのつらくて。

こんな私情ですみません。


ここまで見てくれた方、ありがとうございました。

                           _めぇめ、イアン



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