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妖精の住む森~西~
「この区域は私が担当しましょう。」
「その声…大妖精様ですか!?」
「里の一大事にただ玉座の間でふんぞり返るほど私は腐っていません。かといって私本体が前線に出るほど愚かな考えも持っていません。今のこの姿はいうなれば私のクローンのようなものです。意識をこちらに飛ばすことで動かせていますがこの体がやられれば私の意識は本体に戻りますし長時間この姿を保てるとも限りません。なので私だけに頼らず皆様一人一人の力が試されるときです。里を守りたいという気持ちがあるのならば、魔法が使えなくなろうとも今手に持つ武器で守り抜いて見せなさい!」
大妖精の鼓舞によってその場にいたほかの妖精たちの士気が上がり勇猛果敢に襲い来る人間たちを倒していく。もちろん大妖精も自身が用意した人型の人間サイズのゴーレムで戦う。
(狭間に消えたあなたはこの空の上から見ているのかどうかわかりません。しかし、私はあなたの悪鬼羅刹のような強さと孤独になりながらも仲間を守り慈しみそして自己犠牲を選択したその姿を忘れた時はありません。その姿を見たからこそこうして私は里のトップに立ちあなたの後ろ姿を見て過ごした数年のおかげでこうして武器を持ち戦えてます。今の世界があなたが望んだ世界ではないかもしれませんが確かなのはあなたの意思が現代を生きる若者に引き継がれていることです。私はもう泣きません、あなたが望んだ世界に少しでも近づけるように、せめて私の手の届く範囲はあなたの求めた世界になるように精進しています。だから…もし”彼”になにかあったときは助けになってあげてください。わがままなのは変わらないかもしれないですがお願いです。)
そう願いながら彼女は戦場を駆け抜けていき里の妖精たちと共に西側を死守し情報にあったアンチ魔法を唱えてる、もしくはその魔道具を持つ人物を探し森の外にと進んでいく。
妖精の住む森~東~
木々の上を飛び移りながら移動するミナルと茂みの中をすばやく移動しながら罠魔法を仕掛けていくマリン。
「例の魔道具持ちはこの人ごみの奥にいるんだよね?」
「ラルドちゃんの予想だとそうらしいけど確かかどうかは何とも言えない。」
「でも私みたいな後衛職の人は後ろに待機してるし大事なものって隠したくなるからやっぱりそういう人も後ろにいることが多いんじゃないの?」
「まぁ、確率というか心理的な面で見るとそうかもしれん。」
「なら、早く行こうよ!付け焼き刃で妖精族のみんなが武器使えるようになったと言えどあくまで応急処置みたいなものでメイン火力の魔法を使わないとさすがにこの量は返せないもん!」
「特に俺は戦力外ですから余計ね!」
そう言いながら欠かさず罠を設置し少しでも時間を稼ぐ。そして森の外付近まで来ると情報にあったフードを被った何者かが立っていた。
「アイツがアンチ魔法を唱えてるやつか!」
「奇襲を仕掛ければおしまいだからここは私が…」
「そういつはさせないよガキが」
「なっ!?」
気配なくマリンの背後を取り蹴りを一撃入れられる。直ぐに木の上から降りて飛ばされたマリンの元に駆け寄る。
「流石に大事な作戦の要となってる人がノーガードなわけないよね?」
「用心棒って訳か…。」
「せいかーい!まぁ、俺は金で雇われただけだがまさかガキが紛れてるとはなぁ?」
「アンチ魔法を止めるためにはお前を倒さないといけないわけか…。」
「止められないけどねぇ?お前の装備見たところ大した腕は持って無さそうだし怖くねぇ。で、俺が蹴りを入れたガキはある程度戦えそうだが魔法をメインにしてるから結局張合いがないな。まぁ、ガキを痛ぶれるって言うのは悪くねぇ…。」
「こういう奴をクソ野郎っていうんでしょお兄ちゃん…。」
「あぁ、ちゃんとクズだから容赦なくやってもいいぞ。」
「おいおい…。口は達者だが男のお前は何も出来ねぇだろうがよぉ!!?」
瞬間急に距離を詰められ腹部に一撃拳が入りそのまま数メートル先に飛ばされる。
「ガハッ!?」
「ひ弱な男だ。お前みたいなのが冒険者やギルド員って括りの価値を下げてるんだぜ?とっとと荷物まとめ実家に帰れよ。まだ農業やってた方が稼げるし人のためになるぞ?ギャハハハハ!」
「………死ね、クソ野郎が。」
そう言いお返しと言わんばかりに左の脇腹に蹴りを入れて吹き飛ばすマリン。
「っ!?」
「どんな形であれ私はミナルお兄ちゃんに助けて貰って恩があるの。お兄ちゃんが居なければ私はここに立ててない。私はお兄ちゃんのおかげで生きてるの、アンタみたいなクソ野郎と違ってちゃんと価値ある事をしてる。今あんたがやろうとしてる事は無価値だしむしろ妖精さんたちに害でしかないの。自覚あるの?」
「ゴホッゴホッ……な、なんだてめぇ?どこにそんな馬鹿みてねぇな力が………。」
「用心棒なんでしょ?ほら立ってよ。魔法が今使えない子供のしかも女の子である私にやられっぱなしでいいの?男のくせにひ弱なんだね?」
「クソアマがァァ!!調子に乗るなよォ!!!」
腰に着けたナイフを取り出しマリンに斬りかかる。マリンも直ぐにナイフを取り出し鍔迫り合いが発生し互いにまた距離をとる。
「そのナイフ魔物に対してあまり有効なものじゃないところを見るとこういうの専門で仕事してる人なんだね?」
「ガキのくせに知識はあるんだなぁ?あぁそうだよ。俺は魔物じゃなくて人を殺すのを専門にしてるんだ。そっちの方が稼げるし何よりやってる時が楽しんだよぉ。お前みたいな生意気なガキが敗れて命乞いする瞬間が特に好きでねぇ?泣き喚いて命乞いでもしてみろやガキがァ!!」
ナイフ同士が何度も交差し一進一退の戦場を見せる。互いにギリギリ相手のナイフが当たらぬように立ち回りながら自身が有利になるように立ち回っていくがそこは互いに譲らない。
(腕前に関しては多分私と変わらないくらいだけど体格差的に圧を掛けられると不利になるのがしばしば…。有利に立つためにはやはり魔法が使えないとまずいけどあの後ろの人を何とかするほどこいつに隙はないのも事実…。決めきらないと)
「そんじゃあそろそろ終わらせようかなぁ?」
「なに!?」
「さぁくたばれやガキ!!」
動きは先程とほとんど変わりないがひとつ変わったことは踏み込む一歩が少し大きくなった。その僅かな違いが戦況を大きく替えどんどんマリンは劣勢になっていく。
「防戦一方だなクソガキィ!!?さっきの威勢はどうしたんだよォ!!」
「くっ…このままじゃ里のみんなが……。」
「……安心しろマリン!!魔法はもうつかえるぞ!!」
その声のする方を見るとボロボロになりながらも術者を倒し縛り上げてる最中よミナルの姿であった。
「魔法が使えるなら私の勝ちだクソ野郎!」
そう言い足先からソイルニードルの罠魔法を発動させそれを踏んだ相手の足が貫かれる。
「ぐぁぁぁぁ!?」
「あんまりやりたくないけどクソ野郎にはクソみたいな最期がお似合いよ。頭を垂れて死ね!」
貫かれた足が固定されてるのを利用し更にそこにグラビティの罠魔法を発動させる。そうする事で既に発動してるソイルニードルに自重で潰れていきそのまま串刺しになるという戦法となる。
「じゃあねクソ野郎。」
「これはグラビティ!?体が鉛のように重く…うぐぁぁ!?下の棘が!?重力に負けて…立って……居られなく…………。」
「手を着けばその棘に突き刺さって貫通するよ?」
「はぁ…はぁ…………!」
「さよならクソ野郎さん。」
「マリン!棘は解除しなさい!!」
残忍な殺しをやる瞬間ミナルからの静止がかかる。
「グラビティだけでもコイツはもう勝手にくたばる。運が良ければ仲間に助けられるかもしれないくらいにしておきなさい…。」
その声には確かに怒りも混じっていたが微かに悲しさもそこにはあった。
「わ、分かったミナルお兄ちゃん……。」
ミナルの言う通りソイルニードルは解除しグラビティだけ発動させ身動きを取れなくした。
「綺麗事かもしれないが俺は君に人までも殺して欲しくはない…。少なくとも俺の前ではして欲しくない。これ以上マリンが汚れていくのは俺は耐えられない。」
「お兄ちゃん…。」
「偶然助けただけの俺がこんな自分勝手なことを言うのも違うかもしれないがせめて…せめて俺の前では人は殺さないでいい子で居てくれ。」
「うん…分かった。」
妖精の住む森東側ではアンチ魔法を唱える人間の無力化に成功。用心棒と思わしき人物と共に無力化したため東側勢は魔法使用が可能となる。