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Chapter 5:Silent Fire ― 沈黙を灯す者たち
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【scene 1:ジョングク ― 音と心】
深夜のHYBE地下スタジオ。
ジョングクが一人でギターをつま弾いている。
扉がそっと開き、ミンジュが顔を覗かせた。
「まだ練習中?」
「ううん、待ってた。」
「…なにそれ、甘いね。」
ジョングクは苦笑しながら、横の椅子をぽんと叩いた。
「座ってください。今日、ヌナのための曲がひとつできたんです。」
ミンジュは驚く。
「私の?」
「はい。“声を失ってた君”のための歌。
でもそれは、もう“過去形”だから──この曲は、
“声を取り戻した君”への、プレゼントです。」
彼が歌い始めた。
まるで息を吹きかけるような、静かな旋律。
🎵
「君が黙っていた夜を
僕は全部、知ってるよ
だから今はただ その声を
僕に預けて」
🎵
ミンジュは、最後まで何も言わなかった。
ただ──頷いた。
「ありがとう、グガ。」
「返事はそのうちでいいです。でも、聞かせてくださいね?」
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【scene 2:ナムジュン ― 言葉と知性】
カフェの一角、ナムジュンは一冊の詩集を開いていた。
「…これ、読んでごらん。」
彼が差し出したのは、ナムジュンが書いた未公開の詩だった。
「沈黙は罪ではない
それは、声を探すための旅だ」
「“あなたの沈黙は逃げ”だって言われた時、
私は何も返せなかった。」
「逃げてたのは、お前じゃない。
“世界の喧騒”の方だよ。」
ミンジュは驚く。
「ナムジュナオッパ…私が言いたかったこと、全部書いてる。」
「だって、俺も同じだった。
ステージの上でも、“誰かの期待”って名の声に、潰されそうになる。」
「それでも立ち続けたの?」
「違う。“誰かのため”にじゃなく、
“自分の言葉”で立ったときに、初めて強くなれた。」
彼は笑う。
「お前ももう、立ってるよ。」
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【scene 3:ユンギ ― 闇と音楽】
薄暗いミキシングルーム。
ユンギは一人、何かを編集していた。
「邪魔する?」
「…いいよ。座れ。」
モニターには、ミンジュのステージ映像が映っていた。
ユンギはそれに、静かなビートを重ねていく。
「このリミックス、ミンジュ用。」
「私に?」
「“綺麗すぎる声”って言われてただろ。
でも綺麗なだけじゃ、届かない場所がある。
だから、少し“闇”を混ぜた音を作った。」
ミンジュは目を丸くした。
「…それって、ゆんぎオッパが?」
「俺は、お前の“傷”を音にする。
そうすれば、お前はもうそれを抱えて歌わなくていい。」
静かに鳴るビートが、
彼女の胸の奥にあった黒い塊を、少しだけ溶かしていった。
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【scene 4:ミンジュ ― 炎の前で立つ】
数日後、ミンジュはソロリハの現場に立っていた。
それは、彼女にとって初の海外ツアーに向けた準備。
耳にはユンギのビート。
手にはナムジュンの詩。
心には、ジョングクの歌声。
そして──ステージ袖には、
7人の“家族”がいた。
「いくよ。」
ミンジュが呟いた。
静寂を裂く一声が、ホールに響いた。
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🌙To be continued…
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