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華は笑顔を崩さぬように、カードキーを両手で差し出した。
だが、緊張で指先が少し震え、キーがカウンターの端から滑り落ちる。
「っ……!」
慌てて拾い上げたが、顔が熱くなるのを止められなかった。
「す、すみません!」
お客様の視線が一瞬だけ鋭くなり、胸が締め付けられる。
横にいた律がすぐに一歩前に出た。
「こちらで承ります。ご不便をおかけしました」
落ち着いた低い声に、お客様の表情はすぐ和らぎ、笑顔を残して去っていった。
華は深く頭を下げながら、(また迷惑をかけた……)と胸の奥がぎゅっと痛んだ。