テラーノベル
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退院してから一週間。
りょうたは少しずつ日常を取り戻していた。
夜になると不安になる日はまだある。
そんな日は、一人で抱え込まず、誰かに電話をするようになった。
ある日はじゅん。
「今日さ、ゲームしながら話さない?」
「いいよ。」
笑いながら一時間ほど話し、電話を切るころには気持ちも落ち着いていた。
またある日はたかと。
「眠れないなら、眠くなるまで話そう。」
声を聞いているだけで安心できた。
こうさくは静かに話を聞いてくれた。
かずとは面白い話ばかりして笑わせてくれた。
まさやは本人なりに「大丈夫?」と何度も気にかけてくれた。
みんなが、それぞれのやり方でりょうたを支えていた。
⸻
その様子を見ていたかなめは、ほっとする反面、不思議な気持ちになっていた。
(よかった。)
そう思う。
でも、そのあとに小さな寂しさが胸に残る。
以前は、夜になるとりょうたは真っ先に自分へ電話をかけてきた。
「かなめ。」
そう呼ばれるたびに、「力になれている」と思えた。
でも今は違う。
りょうたはみんなを頼れるようになった。
それは、かなめ自身が望んだことだった。
(これでいいはずなのに……。)
それでも胸が少しだけ痛む。
⸻
数日後。
レッスンの休憩中。
りょうたは笑顔で話していた。
「昨日はまさやと二時間も電話しちゃった。」
「そんなに?」
じゅんが笑う。
「途中からゲームの話しかしてなかったけど。」
みんなが笑う中、かなめも笑顔を作る。
「よかったね。」
そう言ったものの、どこかぎこちない。
その様子をたかとは見逃さなかった。
⸻
帰り道。
「かなめ。」
たかとが隣に並ぶ。
「何かあった?」
「え?」
「最近、少し元気ない。」
かなめは少し黙った。
「……変な話なんだけど。」
「うん。」
「りょうたがみんなを頼れるようになったのは、本当にうれしい。」
「でも……。」
言葉が詰まる。
「少しだけ、寂しい。」
たかとは驚かなかった。
「そう感じることもあるよ。」
「大切な人が元気になって、自分以外にも頼れるようになると、役目が終わったような気持ちになることがあるから。」
かなめは苦笑する。
「僕、子どもっぽいよね。」
「そんなことないよ。」
たかとは首を横に振った。
#原因は自分にある。
宇空#🎹,🐈⬛
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#原因は自分にある。
バディ乃杜バディ子
26,254
「その気持ちは、りょうたを大切に思ってるから出てくるんだと思う。」
⸻
その日の夜。
かなめのスマートフォンが鳴る。
画面には――
りょうた。
「もしもし。」
『かなめ?』
「どうしたの?」
『今日はかなめと話したくなって。』
その一言で、かなめの表情が少しやわらぐ。
「そっか。」
『最近、みんなに助けてもらってるけど……。』
りょうたは少し笑う。
『かなめとも話したかった。』
かなめは思わず笑みをこぼした。
「ありがとう。」
その夜は特別な話をしたわけではない。
今日食べたご飯のこと。
レッスンで失敗した振り付けのこと。
次のライブでやってみたい演出のこと。
他愛ない会話が続いた。
電話を切ったあと、かなめは小さく息をつく。
「……よかった。」
りょうたが仲間を頼れるようになったこともうれしい。
そして、自分との時間も変わらず大切にしてくれていることが分かって、胸の中のわだかまりは少しずつほどけていった……のかな。
コメント
1件
第11話読み終えたよ〜!🌸 かなめの「寂しい」っていう気持ち、めっちゃわかる…。大切な人が元気になって、自分だけじゃなくみんなを頼れるようになったのは嬉しいけど、ちょっとだけ胸がチクッとする感じ。でもたかとが優しく受け止めてくれて、最後にりょうたから電話がかかってくるところがもう…エモすぎた😭💕 みんなそれぞれの支え方があって、このグループの絆がどんどん深まってる感じがしてすごく好き!次の話も楽しみにしてるね〜⋆♡