投稿遅れました作者の白猫ヤマトです。
いやぁ…最近ホント絵も小説も中々上げられなくて……作者の自己満でやってるフシはありますが、申し訳なく思っております。
…え?ヤバい家族?
待っててください、いま起承転結の承と転の間うろちょろしてるんで。
今回は作者の推しcpランキングトップ3に入って来るtnemでーす。
いいよねtnem
あ、因みに甘々ですがちょっと暗めです。
では、どうぞ……
tnem【いつか】
「おはよ、エミさん」
窓の外を眺めるその背中に声をかける
何時もと何ら変わらぬ朝だ。
「…おはようございます。トントンさん」
少し間を置いてから、エーミールが振り返って返事をする。
少し、悲しそうな顔で。
朝から浮かない顔をするエーミールを、何時も通り後ろから柔く抱き締める
そして小さく息を吸って、ゆっくりと何時もの台詞を吐く。
「また、死ねへんかったな?」
「そう…ですねぇ」
ここまでがワンセット
ここ数年の、朝のルーティン。
晴れの日も、雨の日も、曇りの日も、雪の日も、台風の日も、
毎朝毎朝、俺も、エーミールも
一語一句違わずに、この言葉を紡ぐのだ。
エーミールの心には、強く『死にたい』と言う感情が住み着いている。
それも変に拘りが強くて
彼曰く、
『何時も通りに眠って、そのまま死んじゃいたいんです。』
との事らしい。
それはつまり老衰なんじゃないのかと聞いた事はあるが、そうでは無いらしい。
老衰の様に、年齢で片付けられるものですらなくて、ただ本当に突然
誰も予想できない様な、自分ですら驚いてしまう程普通な日に、パッタリと死んでしまいたいのだと言う。
そうなればきっと、俺も驚くのだろう。
「残念?」
「えぇ、とても」
エーミールは毎晩、二度と醒める事が無いようにと願いながら眠りにつく。
そして毎朝、願いが叶わなかったと言う虚しさに包まれながら1日を始めるのだ。
彼にとっては残念な事に、今日も腕の中にある身体は温かい。
「今日は晴れやなぁ…久々に洗濯物外で干せそうやわ」
「午後からは曇るそうですよ?」
「えぇ、まじぃ?」
こういう所が、またチグハグなのだ。
死にたいと言う癖に、当たり前の様に明日の天気を確認していたり、明日の夕食の希望を聞いてきたり、何処かへ出かける予定を頻繁に立てたり
彼はどうも、自分が明日も当たり前に生きている未来を見ているらしい。
それは俺も同じだけど
多分彼が、彼の望み通りに死ぬ事は無い。
きっと明日も、明後日も
彼は少し悲しそうな顔で、おはようを言うのだ。
決して
この世に絶望している訳では無い。
悲しみに満ちた生涯だった訳でも無い。
極々平凡で、人並みに幸福であった筈だ。
家族も、友達も居る。
…なんなら、恋人も
満ち足りた人生と言えるのだろう。
けれど彼は何時も
心の底で死を望んでいる。
何度愛を伝えても、手を繋いでも、キスをしても、身体を重ねても
変える事は出来なかった。
なら、せめて
せめて彼の最後は、自分の傍が良い。
俺もまた、来る筈が無いと確信した未来を、彼の望む先を、心のどこかで信じているのだろう。
いつの日か、少し悲しげなおはようを渇望する日が来るのかもしれない。
「…なぁ、エーミール」
「はい。トントンさん」
いつの日か、腕の中の温もりが消えてなくなる日が来るのかもしれない。
「明日、デパートでも行こうや。本屋入っとるとこ」
「ええですねぇ。楽しみやわ」
いつの日か、当たり前に来ると思っていた明日が来なくなるかもしれない。
嗚呼
いつか
いつか、エーミールが
晴れやかな笑顔で、おはようを言ってくれる朝が来ると良い。
そうすればきっと
このやり場の無い悲しみも、消え去ってくれるのだろう。
はい、いかがでしたでしょうか。
最近リアルがバタバタしてるのとスランプが重なって絵も小説もぜんっぜんかけてないんですよねぇ……
明日にイラストの方は上げられそうですが。
まぁ、これからものらりくらりマイペースにやってくので、気長に待っていただければ幸いです。
それでは、また次の作品で……
コメント
2件
悲しくも優しい世界。 どこか儚くも透明な雰囲気に、気がつけば引き込まれていました。 素敵なtnem、ありがとうございました🙏✨