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麗子はタクシーを拾って自宅へ向かったが、運悪く渋滞につかまってしまい、思ったより時間がかかってしまった。
マンションのリビングに入ると美咲が床一面に古い書類や封筒などをまき散らして、何かを探していた。
麗子はつかつかと歩み寄りながら美咲をなじった。
「ちょっと、どういうつもりなの、美咲。あれじゃ、あちらのご両親が気を悪くするでしょ。ちょっと、聞いてんの?」
麗子の声が耳に入っていない様子で、美咲は封筒を次々とひっくり返し、中身を見る。そして、一通の書類を手に取り、悲痛なため息を漏らした。
詰め寄る麗子に肩越しにその書類を差し出す。訳が分からず、反射的に受け取った麗子は、そこに記されている内容を見て、大きな音を立てて息を呑んだ。
「美咲、これ、まさか?」
美咲はその場に座り込んだまま、茫然としていた。