テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「斎藤〜ソレそっちに運んでぇ!」
「りょーーー」
「ゆめっち腰辺りキツくない?」
「ゼンゼンへーきぃ」
「**小鳥遊(たかなし)**どう?キツくない?」
クラスで一番背の高い手芸部の男子大河が、俺の腰にメジャーを巻きつけながら顔を覗き込んできた。
「全然平気だよ」
「大河ー**四宮(しのみや)**も頼むぅ」
「おけぇぇぇ」
手芸部の男子──大河はそのふざけた名前に反して、
手は器用だし、スカートのプリーツのバランスとかめちゃくちゃ細かい。
「んじゃ、四宮、こっちきてー」
呼ばれて、ひょこっと顔を出した四宮は──
ウィッグもメイド服も、まだ途中の状態なのに、すでに完成されてた。
肩までの柔らかそうな髪。
透き通るような肌に、少しだけ赤みを帯びた頬。
「うわ……四宮、やっば」
「へ?なにが?」
「いや、似合いすぎて犯罪」
誰かがそう言って笑ったけど、俺は笑えなかった。
だって──
(まじで、ヤバい。めちゃくちゃイケる……)
胸の奥が、ざわっと波打つ。
しかも──なんかこの感じ、俺だけじゃない気がした。
(……まさか、お前も“そう”だったりする?)
隣に並んだ四宮が、ちらっとこっちを見る。
「小鳥遊、ウィッグ似合ってるじゃん」
「そっちこそ。完成してないのに、出来上がってるじゃん」
「ありがとー。まあ、嫌いじゃないから、こういうの」
……その言い方、普通に受け取るには、ちょっと“匂い”が強すぎる。
「……嫌いじゃないって、まさか」
「なにが?」
「……いや、なんでもない」
視線を合わせたまま、どっちも笑ってごまかしたけど。
俺も、四宮も──どこか、探るようにお互いを見てた。
このスカートの下、見られたらどうしよう。
でも、もしかして、お前も同じこと考えてんじゃないか?
そう思った瞬間、なぜかゾクリと背筋が熱くなった。
──文化祭はまだ始まってない。
でも、俺たちの“秘密”は、もう走り始めてる。
次回
「メス顔、晒せよ」
第2話 『メイド喫茶、開店』
「声、我慢しろよ……外に聞こえるだろ?」
サァテどっちが攻めでしょうかねェ(・∀・)ニヤニヤ