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3、再会の倉庫
「…………何故。」
「やっほー皐月♪」
最悪だ。
自殺に失敗し、自殺未遂者となり、彼女と別れたあの日からまだ1日、いや、半日も経っていない。
なのに、昨日と全く同じ場所に彼女がいた。
授業が終わり、すぐに死ぬためにまた倉庫にきてしまったことがもう失敗だったか。
ていうか2分前に授業終わったばっかだぞ…………何で息切れひとつもないんだ??
とにかく追い出さなければ。
此処に居られたらきっとまた止められる。
「やっぱりここにいれば来ると思ったよ♪」
「最悪。出てってください。」
俺は早く死にたいんだ。そう言いたいのを我慢する。
言ったらきっと引かれる。いや、絶対引かれる。
「出てけと言われても……此処は皐月だけの場所じゃないじゃん。」
(うっ……正論ぶちかましてきたコイツ……しかも初めての真顔………なんかすごい心にくるような……。)
「………帰る。」
「えっ!?」
クルッと彼女に背を向ける。
どこか他の場所、他の方法で死ぬか。
どうしよう?
屋上から飛び降りる?
カッターで腕の血管を切る?
毒を飲む?
同じ中庭の反対側の隅にある井戸に身を投げる??
考えれば考えるほど案が浮かんできてしまう。困るな。
「………できれば楽に……痛くないよう死にたいな………うーん……」
ブツブツ独り言なんて言って大丈夫だろうか?また何か口を挟まれそうだ。
「皐月……?さっきからブツブツ何言って………?」ほら、案の定口を挟まれる。
あぁ、毛虫でも見るような目。見慣れた表情。心が黒くなっていく。
(やっぱり、引かれるよな。)
俺のせいか。
俺がブツブツ言ってるからか。
ごめんなさい。
ごめんなさい、
ごめんなさい、
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさ——————
「君、やっぱり死にたいんだね。」
「?!……」
急に、彼女が言った。笑いながら。
笑っているはずなのに、何処か悲しそうな表情に、言葉が出ない。
怖い。
「いいよ。
ふわっと彼女が微笑んだ。花が咲いたみたいに、優しく。
心が澄んでいく。
温かい。
こんな気持ちになったのは初めてだ。
でもきっとこれが最初で最後。きっともう一生見ることのない表情。
彼女の言っている言葉は壊滅的で理解不能だが、花畑のような彼女の表情はずっと見ていたくなって。「……さ、……皐月………??何、怖いんだけど。教えて欲しいの?ほしくないの?」
彼女の笑顔が苦笑いになって、真顔になって、そんなことを言うまで、俺は見惚れたように彼女の顔を見ていた。