-– 📱『消えたメッセージ』
「ねえ、昨日のメッセージ見た?」
放課後、友達の沙希(さき)が私に聞いてきた。
スマホを見ると、クラスのグループチャットに知らないアカウントからメッセージが届いていた。
『助けて』
誰もそのアカウントを知らない。
でも、最後に送ったのは、確かに沙希だった。
「え、沙希が送ったの?」
「いや、私じゃない……」
次の瞬間、そのメッセージは――消えた。
画面を何度見ても、グループチャットには表示されない。
でも、誰かの足音が背後で近づく。
スマホが振動して、また通知が来た。
『助けて…』
今度は私の名前が書かれていた。
画面の向こうに、確かに誰かが立っている気配がした。
【エピローグ】
次の日、沙希と私は学校の図書室で待ち合わせをしていた。
スマホの画面を確認すると、グループチャットには何も表示されていない。
「昨日の、やっぱり夢だったのかな…」
沙希が小さくつぶやく。
そのとき、私のスマホが突然振動した。
画面には、見覚えのないアカウント名。
『ありがとう。次は教室で会おうね。』
私たちは顔を見合わせた。
背筋が凍る――でも、文字には沙希の筆跡そっくりのフォントで表示されていた。
教室に戻ると、誰もいないはずの席に、私のスマホが置かれていた。
そして机の上に、見覚えのある文字。
『次は、君の番だよ。』
ページをめくると、消えたはずのメッセージが、ゆっくりと浮かび上がっていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!