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『笑っている君が、一番心配だった。』「言えそうだったのに」
放課後
6人はいつものように教室に残っていた。
けちゃ「ねぇねぇ!今日どこ行く?」
ぷりっつ「俺、コンビニ行きたい!」
まぜ太「またなんか買うのか?」
ぷりっつ「もちろん!」
あっと「俺も行こうかな。」
あっきぃ「じゃあみんなで行く?」
けちゃ「さんせーい!」
みんなが帰る準備を始める。
その中で――
ちぐさ「……。」
ちぐさだけが、机に座ったままだった。
あっきぃ「ちぐちゃん?」
ちぐさ「……ん?」
あっきぃ「帰るよ?」
ちぐさ「あ……うん。」
ちぐさが立ち上がる。
けれど、少しだけふらついた。
あっきぃ「……大丈夫?」
ちぐさ「大丈夫。」
すぐに答える。
あっきぃ「……。」
あっきぃは何も言わなかった。
学校を出る。
みんなで歩いている。
ぷりっつ「なぁ、何買おうかな〜!」
まぜ太「お前は買いすぎ。」
けちゃ「僕はお菓子!」
あっと「俺は飲み物かな。」
ちぐさ「俺もお菓子買おうかな。」
笑いながら歩く。
でも――
ちぐさの歩く速度が、少しずつ遅くなっていく。
あっきぃ「……。」
あっきぃが後ろを見る。
あっきぃ「ちぐちゃん。」
ちぐさ「ん?」
あっきぃ「疲れた?」
ちぐさ「……。」
一瞬。
ちぐさは「うん」と言いかけた。
けれど。
ちぐさ「……ううん。」
あっきぃ「そっか。」
コンビニに到着。
みんなが店内へ入っていく。
けちゃ「ちぐも行こ!」
ちぐさ「……あ。」
ちぐさは少し迷ってから。
ちぐさ「ごめん、俺ちょっと外にいる。」
けちゃ「え?」
ちぐさ「すぐ戻るから!」
けちゃ「……うん。」
ちぐさは一人で店の外にあるベンチへ向かう。
ベンチに座る。
ちぐさ「……ふぅ。」
深く息を吐く。
今日は朝から少し疲れていた。
でも。
みんなには言えなかった。
ちぐさ(……疲れたって言ったら。)
ちぐさ(みんな心配するよね。)
ちぐさ(また……。)
ちぐさ(迷惑かけちゃう。)
ちぐさは膝に顔を伏せる。
すると――
あっきぃ「……ちぐちゃん。」
顔を上げる。
あっきぃが隣に立っていた。
ちぐさ「あっきぃ……。」
あっきぃ「ここにいたんだ。」
ちぐさ「……うん。」
あっきぃは何も聞かず、隣に座る。
しばらく沈黙。
ちぐさ「……ねぇ。」
あっきぃ「ん?」
ちぐさ「俺さ。」
あっきぃ「うん。」
ちぐさ「……。」
言葉が止まる。
あっきぃ「ゆっくりでいいよ。」
ちぐさは手を握る。
ちぐさ「……疲れた。」
小さな声。
あっきぃは何も言わない。
ちぐさ「……。」
あっきぃ「うん。」
それだけ。
ちぐさ「……それだけ?」
あっきぃ「うん。」
ちぐさ「……なんで?」
あっきぃ「だって、ちぐちゃんが『疲れた』って言ったから。」
ちぐさ「……。」
あっきぃ「それ以上、今は言わなくていいんじゃない?」
ちぐさの目が少し潤む。
ちぐさ「……そっか。」
そこへ。
けちゃ「あーーっ!」
2人が振り返る。
けちゃ「いた!」
ぷりっつ「何してんねん!」
まぜ太「探したぞ。」
あっと「大丈夫?」
ちぐさは少し笑う。
ちぐさ「ごめん。ちょっと休んでた。」
けちゃ「そっか!」
けちゃはそれ以上聞かなかった。
ぷりっつ「じゃあ帰ろー!」
ちぐさ「うん!」
6人で歩き出す。
帰り道
ちぐさはあっきぃの隣を歩く。
ちぐさ「……あっきぃ。」
あっきぃ「ん?」
ちぐさ「さっき……。」
あっきぃ「うん。」
ちぐさ「聞いてくれて、ありがとう。」
あっきぃ「ううん。」
ちぐさ「……本当は。」
ちぐさが足を止める。
ちぐさ「もっと言いたかった。」
あっきぃも止まる。
ちぐさ「でも……怖くなった。」
あっきぃ「……そっか。」
ちぐさ「だから今日は……『疲れた』だけ。」
あっきぃ「それで十分だよ。」
ちぐさは少し笑う。
ちぐさ「……うん。」
そして。
今度は自分から。
みんなのところへ走っていった。
ちぐさ「みんなー!待ってー!」
けちゃ「ちぐ遅いよー!」
ぷりっつ「置いてくでー!」
ちぐさ「待ってってばー!」
笑い声が響く。
まだ全部は言えない。
でも。
一言だけなら――
言えるようになってきた。
――第23話・終わり。
コメント
2件
少しずつ言えるようになってきてるねちぐちゃん 続きまた待ってる
「疲れた」って言えたちぐさくん、すごく良かったな…。あっきぃの「それだけ?」「うん」の返し方、何も無理に聞き出そうとしない距離感が本当にあたたかくて、読んでてじんときた。まだ全部は言えなくても、一言だけなら言えるようになってきた、っていうラストも切なくて優しい。みんなでワイワイやってる日常の裏で、こういう気遣いが自然にできてる関係、素敵だなと思いました。