TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

曝露

汪渕ワンエン

汪渕ワンエンと書かれし紙が目の前にありき。ビックリして飛び起きせば其処は僕の部屋なりき。僕が目を覚ますと琳琅リンランはいみじく喜びと少し驚きを抱えた。どうやら少し気絶をしていたのごとかりき。いみじく幸せなる夢を見き。もう戻った来ぬ夢を見き。

琳琅リンラン

僕は琳琅リンランの裾を掴みて「水をくれざるや」と問ひ掛けき。琳琅リンランは直ぐ様水を取りに行ひてくれき。琳琅リンランに迷惑を掛けてしまったのかもしれず。いみじく反省しき

辺りを見渡すと琳琅リンランが書ききと覚ゆる紙切れが辺りに散らかってゐき。其を拾ひ上げて中身を開かむとすれど何処よりか罪悪感が芽生え開くは辞めた。琳琅リンランは水を持ちゆき、僕の目の前に置きき。琳琅リンランに少し話をせまほしと思ひ琳琅リンランにとってはきっとあぢきなからむと言ふ話をしき

「昔の夢を見しなり」

琳琅リンランは座り直して真剣に聞かむと姿勢を直したりき。さる琳琅リンランを横目に僕はスラスラと話し始めき。琳琅リンランは黙って無駄話を聞きてくれき。時々暗き表情をしながらも黙って聞きてくれき

「……師兄すひんは、もしかしせば僕の事を嫌ひたるかも知れぬ」

〔いかで〕

「分からず。ただひたすらにそう感じぬ」

机に肘を付きて僕は手で顔を覆った。無性に涙が出でてく。琳琅リンランには格好よき姿を見せまほしと言ふを矛盾せし姿を何度も見せてしまひたり。此の話が終はりせば琳琅リンランの記憶を消しておきたいぐらいに恥ずかし

〔その人が君の事をどう思ってゐしや確かむる方法ならばある〕

「いかなる風に」

〔その人の瞳には何が映ってゐしにはべるや。其処に映ってゐし人こそがその人の思ふ恋心を抱く人なればはと私は感じはべり〕

続けて紙に言葉を書きたりき。其処に映ってゐし人こそがその人の思ふ恋心を抱く人、師兄すひんの瞳には僕が映ってゐけむや。気になりて仕方がなかりき

「少し揶揄を入れむ。さる君の瞳には何が映ってゐるの」

〔何が映っているんだろうね〕

琳琅リンラン汪渕ワンエンの方をじっと見詰めた。汪渕ワンエンはポカンとせし表情を琳琅リンランに見すと琳琅リンランはクスクスと微笑み始めき。まさかの琳琅リンランに揶揄われた汪渕ワンエンは少し不機嫌になり目を逸らし口を閉じき

「嘘は駄目だよ琳琅リンラン…」

少し琳琅リンランの方を見れど琳琅リンランは未だクスクスと微笑んでゐき。師兄すひんの夢を見しかばか面影を感じにき。師兄すひん琳琅リンランの瞳の中に僕がゐると良いなと思ひにき。さる時なりしゴーンッと鐘の音がしき。何ならむと琳琅リンランは奇し~さうに外を見たりき。僕は嫌なる予感しかせざりしかば窓を閉め琳琅リンランを寝室へと連れていきき。無邪気なる琳琅リンランを汚せまほからずと本気で思ひき。何が何だか分かりたらぬ琳琅リンラン汪渕ワンエンに話し掛け続けてゐき。少なくとも心の支えにはなりたりき

汪渕ワンエン、君は花は好き? 〕

「好きにはべり」

〔羽目に陥る時は私が奨励する為に汪渕ワンエンに花を捧げよう〕

そう書かれし紙を見し汪渕ワンエンは少し戸惑ゐ口を開きき。

「何の花にはべるや」

〔桔梗〕

琳琅リンランはそう紙に書きて汪渕ワンエンに見せき。凛々しく書かれし紙を見て汪渕ワンエンは涙を一粒溢し綴った

「其ならば僕は勿忘草を捧げよう」

汪渕ワンエンがそう言ふと琳琅リンランは照れ臭さうに喜びたりき。汪渕ワンエン琳琅リンランが眠りきと感じ取りその場を離れき。桜は早くも散りたりき。散る前に琳琅リンランに見せれて良かりきと心の底より思ひたりき。此の時代は平和ならず。争ひ事は日常茶飯事なりき。子供の泣き声は良く聞こゆ。たまに其で起くるくらいなりき。もし争ひ事がなき別の世界で生きれせば僕は何をせむや。汪渕ワンエンは外より散りし桜の木を見詰めてゐき

「桜が散りたり」

後ろより声が聞こえき。其もいと優しき声なりき。汪渕ワンエンは其につきて何も触れず、ただ一つ言葉を溢し振り替えず桜の木を見詰めてゐき

「遅かれ早かれ、いづれ散る物なりと感じたりきよ」

声の主は少し黙り汪渕ワンエンへとそっと触れき。其はいと冷たき手なりき

「寂しそう」

汪渕ワンエンはボロボロと涙が出でたりき。「うん、寂しよ」と何度も呟き手に擦り擦りと頬を擦り付けき。声の主は夜が明けるまで汪渕ワンエンの傍に居た。もう寂しと聞かざりて済むやうに永遠に傍に居た

「桜は見れき?君の為に植ゑしなり」

汪渕ワンエンが震えた声でそう問ひ掛くと声の主は

「お前が見せてくれけむ」

とポツリ溢しき。「さうなりね。見せきよ」と汪渕ワンエンが言ふと声の主はそっと汪渕ワンエンを後ろより抱き締めた。汪渕ワンエンと目線を合はする事はせずただ後ろより、汪渕ワンエンを強く抱き締めてゐき。

「目を閉じたまへ。寝室へと足を運びて」

汪渕ワンエンは目を閉じるを否びき。まるで子供のごとく「嫌なり」と言ひたりき。手を強く掴み離そうとせざりき。声の主は何度も汪渕ワンエンに声を掛くるが汪渕ワンエンは拒否を繰り返しき。

師兄すひん……」

「夜明けに素敵なる物を奉呈せむ」

そう言ふと汪渕ワンエンはゆっくりと目を閉じき。疲れが溜まってゐしならむ、もう目を覚まさぬ程深き眠りに入りたりき。汪渕ワンエンが目を覚ましし頃、夜は明けてゐき。汪渕ワンエンは昨日の事は良く覚えてゐざりき。汪渕ワンエンがふらっと寝室に立ち寄り扉を思いっきり開くとビュンッと風が吹きき。其処には机に座りて背中を向けてゐる琳琅リンラン琳琅リンランの傍に花が添えてありき。其の花は紫で綺麗なる美しき星型の花。紛れもなく桔梗の花なりき。立ち尽くしたりと琳琅リンラン汪渕ワンエンが来し事に驚き顔を此方に見せき。紙に文字を書き汪渕ワンエンに見せき

〔捧げよう〕

昨日の事は覚えたらぬ筈なるをまるでありつる事のごとく思へてきて汪渕ワンエンは座り込んなり。さる汪渕ワンエンのけしきを見し琳琅リンランは座り込んだ汪渕ワンエンを憂へき。汪渕ワンエンは何度も「ありがとう」と琳琅リンランへ言ひたりき。琳琅リンラン汪渕ワンエンに礼を言はるる度に、しっかりと受け止め深く頷ゐたりき。汪渕ワンエンは辛さのあまり琳琅リンランに様々なことをほざゐたりき。まるで師兄すひんに問ひ掛くるかのごとく汪渕ワンエン琳琅リンランに問ひ掛けたりし

「重荷になると言ふを何故人は守れぬ約束をするにはべるや。何故人は辛き此の世で必死に前を向ゐて生きたるにはべるや」

「僕には分からず。」

そう無邪気に綴る汪渕ワンエンを目の前に琳琅リンランはかむ綴った

〔生くる意義があれば生くるにはべり。前を向かなからばならぬ意義があれば前を向くんにはべり。私は生きまほき、私は前を向こまほしって意思があれば人は行動せむと思ふるにはべり。 生くる以上に望む物はなしと私は思ひはべり〕

〔私は、誰かの為に何かをせむといふ行動は重荷なりとは思ひし事はなし。労しき人相手に何もせざると言ふ圧こそが重荷なりと思ひはべり〕

ポカンとしたる汪渕ワンエンを横目に琳琅リンラン汪渕ワンエンを見詰め更に綴る。

汪渕ワンエン、人生といふ物はいかなる意味か分かりはべるか〕

汪渕ワンエンは「分からぬ」と首を振る

〔人の為に生くと書きて人生と言ふにはべりよ。無理はせず気長に生きはべらむ〕

汪渕ワンエンは声を震わせながらも琳琅リンランに何度も問ひ掛けき。

「……師兄すひんは良く僕を英雄なりと言ひき。僕は差程いみじき者ならず。僕は、英雄なんぞ相応しき者ならざるにはべり」

「其の実、敗者なるにはべり」

そう汪渕ワンエンが言ふと琳琅リンランは悲しさうなる表情をしき。書き手に困りたれど琳琅リンランは恐る恐る紙を汪渕ワンエンに見せき

〔強者のみが英雄なりとは思ってはいけはべらず。素敵なる人を私は英雄だとおもゐはべり。其には強者や敗者は関係はべらず。誰かが汪渕ワンエンを敗者なりと仰っても私は汪渕ワンエンを敗者なりとは思ひはべらぬ〕

琳琅リンランがそう紙に書くと汪渕ワンエンは口を閉じ黙り込んなり。琳琅リンラン汪渕ワンエンを奨励せむと試みれど汪渕ワンエンの気分は上がる事はなかりき。



美丽的花朵很快就会枯萎

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

42

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚