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「楽しくて、それ以上に苦しくて」
その言葉が雫のように胸の中に落ち、波紋のように、ゆっくり大きく広がっていく。
(もう無理って……)
花音(かのん)が本気で言ってるわけじゃないと思おうとしても、唇を噛む横顔は真剣で、声をかけるのが躊躇われた。
「もう……終わりにしようか。これ以上はきっと無理だと思う」
俺と視線を合わせない花音は、俺へとも、自分へともつかない様子で言った。
それはまるで、自分に言い聞かせようとしているようにも見える。
花音との別れを、一度も想像しなかったわけじゃない。
いずれそういうこともあるかもしれないとは思っていたが、遠い未来にあるかもしれない、くらいのものだった。
本気で別れを考えかけたのは、 千尋(ちひろ)に“浮気”を責められ、別れると言われた時の一度きり。
でもあの時は、千尋も普段の千尋じゃなかったし、うやむやになって終わっていた。
「そ*****************
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