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憂海歌
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Haru
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心
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それから数日、達宣は祐希を意識し続けた。
目が合うと、すぐに逸らしてしまう。
話しかけられると、うれしいのに緊張する。
隣に座りたいと思うのに、いざ近づくと何を話せばいいのかわからなくなる。
祐希は、そんな達宣を急かさなかった。
今までと同じように挨拶をして、話しかけて、必要なときには声をかける。
二人きりになっても、無理に告白の話を持ち出すことはなかった。
だからこそ、達宣は少しずつ考えるようになった。
祐希の言葉だけではなく。
自分が、祐希に何を求めているのか。
ある日、達宣はふと、以前のことを思い出した。
あまり話せなかった日。
祐希が忙しそうで、声をかけるタイミングを逃した日。
その日は、なんとなく物足りなかった。
翌日、祐希を見つけたとき、思っていた以上にうれしかった。
あのときは、ただ話したかっただけだと思っていた。
でも、本当にそうだったのだろうか。
祐希が自分以外の人と話しているとき。
楽しそうに笑っていると、よかったと思う。
でも、話が終わったあとには、自分も話したいと思ってしまう。
悩みを覚えていてくれたとき。
うれしくて、もっと話したいと思った。
「また話してもいいですか」と聞いたのも、祐希なら受け止めてくれると思ったからだ。
そして、告白された今。
祐希がいつも通りに接してくれることに安心している。
でも、同時に。
いつか祐希が、自分のことを諦めてしまったら。
もう今までみたいに隣にいてくれなくなったら。
そう考えると、胸の奥が落ち着かなくなる。
「……あ」
達宣は、そこでようやく気づいた。
自分は、祐希の隣にいることを、当たり前だと思っていた。
でも、本当は。
当たり前であってほしいと、願っていたのだ。
祐希が好きだと言ってくれたから、急に大切になったわけではない。
ずっと前から、少しずつ。
祐希と話す時間が好きだった。
祐希の隣が落ち着いた。
祐希が笑ってくれるとうれしかった。
そのひとつひとつが、今になって意味を持ち始めていた。
「……そっか」
小さく呟く。
まだ少し、怖かった。
自分の気持ちを伝えたら、今の関係が変わってしまうかもしれない。
でも。
伝えなかったら、祐希はずっと、自分の気持ちを知らないままだ。
祐希が自分にしてくれたように。
今度は、自分がちゃんと伝えたい。
そう思った。
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