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最高すぎます!!大好きです😘どの話も尊いのを作っていただいてありがとうございます😭ご馳走さまでした続き楽しみにしてます!!
初コメ?失礼します!毎度の如く素晴らしい語彙力?で、更新された時は飛び上がって喜んでおります( *´꒳`* )もう、めちゃ尊くて毎回尊タヒしております! 祖国様、何か嫌な思い出でもあるのでしょうか?まぁ、続きを正座で楽しみに待っておきます!
今回のエピソードは何話か続けようかと…。探検には色んな夢が詰まってるし,ネタも豊富で書いてて楽しいので。
それでは本編どうぞ!
キーンコーンカーンコーン…
再び鳴り響くチャイムの音と,裏ボスの号令を合図に,それぞれが楽しそうに動き出す。
彼らが目指す先は,日本。
「ねぇ,何処から来たの?」
「このゲーム知ってる?」
「友達になろうぜ!」
質問責め。
そんな,漫画みたいな展開現実には存在しない。
が,日本は別。
見目麗しく,そこに居るだけで周囲の注目の的だと言うのに,その整った顔から発される声は内容なんて関係無く,ずっと聞き続けて居たい程聞き心地が良い。一体,そんな人が自分達のクラスにやって来たと言うのに,誰が声など掛けなくても良いと思うのだろうか?
あわあわと焦りながらも,一つ一つの質問を丁寧に返して行く日本を横目に時折フォローを入れながらも,俺は目の前の敵に視線を戻す。
「アメリカ,随分とご機嫌アルね」
「…日本と隣なのいいな…」
「迷惑掛けるなよ」
中国,イタリア,裏ボス。
うざい国三大トップ。日本の隣で嬉しかったけど,代償としてこいつらが付いてくる。
「日本は転入時のテスト満点だったんだろ?凄いな,学年で一番じゃないか」
「あ,一応…」
裏ボスが日本と話していた。…満点?
「日本君,テスト満点なのー!?凄い!いおなんていつも一桁だよ!あ,いおはイタリア!よろしくねっ!」
「あはは…宜しくお願いします,イタリア…君?僕の事は呼び捨てで良いですよ」
「そっか~,宜しくね,日本!」
意外に日本とイタリアは波長が合うらしい。すぐに仲良さげに話し始めた。
て言うか…満点?
前回の期末で総合が100点も行かなかったのは,秘密にしておこう。
「そろそろ移動した方が良いんじゃないか?」
裏ボスの一声で,やっと日本がの周りをぐるりと取り囲んでいた奴らが離れて行く。
「…日本,疲れただろ」
「…いえ,全く。アメリカさんがフォローしてくれたので」
そういう事,言うなよ。…心臓に悪いから。
「ほら,二人も早く移動した方が良いんじゃないか」
裏ボス,口を挟むな。
けど,次の時間は移動教室。一時間目から面倒だな…
ぼやーと考え事をしてると,日本が話し掛けてきた。
「アメリカさん,理科室って何処ですか…?」
「え…」
あ,そっか。日本は知らないんだよな。
しゃあ,連れて行ってやらないと…日本の手を引いた所で,裏ボスが
「案内しようか?」
と言ったけど,無視。日本は俺が連れてく。
授業前の廊下には先程までの喧騒や活気は無く,二つの足音だけが響く。随分と年期の入った校舎で,ぎし,ぎしと歩く度に廊下が小さく軋む。
「理科室は別搭だから少し遠いんだ」
「そうなんですね…」
たわいも無い会話を続けた。二人だけの廊下はあまりにも寂しかった。けど,心臓は煩かった。
「広いんですね,この学校は」
日本は,感心とも不安とも取れる溜息を漏らした。
「…これだけ広いと,迷子にでもなってしまいそうです」
不安げに,呟く。
「…じゃあ,今度,校内探検でもしようか」
「え…?」
「俺もさ,行ったこと無いとこあるんだよね」
ふいに日本の方に振り返り,いたずらっぽく笑って見せた。そしたら,日本はまたバツが悪そうな顔をした。
「…お願いしても,良いですか」
「探検だろ,願うもんじゃねーよ」
無駄に律儀な日本はどうにも不満げな顔をして,言い直した。
「…探検,行きたいです」
そうこなくっちゃ,とでも言わんばかりに俺は日本に告げた。
「じゃ,放課後な」
「放課後…?」
「楽しいだろ」
「怖いです」
「何が」
ロシアも誘うか,と言うと日本は少し表情を明るくした。何だよ。…ただ,残念ながらロシアにはベラルーシがベッタリだと思い出したので,不参加で決定となった。
日本は不安そうにしてたけど,正直俺は,これ以上に無いくらい気分が高揚するのを感じていた。
昨日初めて会った奴だというのに,何がこんなに楽しくて,嬉しいんだろう。
先程まで不快に感じていた廊下の軋みも,今は気にならない。
退屈な授業を幾つかこなして,やっと昼休みがやって来た。
「ぁ…めり…が…」
地の底を這う様な恐ろしい声が俺を呼ぶ。朝よりも遥かにぐったりとした顔のロシアは,辛うじてドアの前に立っていた。
「…大丈夫かよ,ロシア」
「…だい…じょばない…」
「災難アルね」
いつの間にか隣に居た中国がロシアに声を掛ける。
「また妹アルか」
言葉を発する気力も無いのか,ロシアは静かに首を縦に振った。
「…学食行こうぜ,話はそこで聞くからさ」
「うん…」
学食に行こうとした所で,ロシアは今日聞いた中で一番まともな声を発した。
「あ,日本も行こうぜ~!」
(急に元気になるなよ…)
「え?あ,はい!」
ほら,混乱してる…と思ったら,どうやらげっそりとした顔のロシアを心配してるだけみたいだ。
「…あの,僕のせいですか…」
「…うん」
「……何とお詫びすれば…」
詫びるな。
「日本のせいだから充電させて…」
そう言って,ロシアは昨日と同じように日本に覆い被さる。
「あ~…子供体温癒される~…」
…こいつ…。
さっさと日本からロシアを引き剥がそうとした時,横からさっと腕が伸びて,ロシアの首もとを掴んだ…と思ったら,そのままロシアをひっくり返した!?
勿論,その手の主は他でも無い中国。
「…抱き締めるなアル」
「いって~…そんな怒るなって…」
…ほんと何でこいつ,そんな怒ってんだ?
「ほら早く,学食行くアル」
そう言って,中国は一人すたすたと歩みを進めた。分かんない奴だな…
昼の学食はやっぱり賑わってる。
「凄いですね…!」
キラキラと目を輝かせる日本が微笑ましくて,何だかさっきの事もどうでも良くなってきてしまった。
「前の学校には無かったのか?」
「はい…!前の学校では弁当を持参で…」
そう言った所で,日本は表情を曇らす。まただ。文脈に何も悲しい事や怪しいことはないはずなのに,日本は頻繁に表情を曇らす。それこそ,一瞬なのだが。
今回は何か呟いた気がしたが,その声はあまりに小さく,聞き取ることは出来なかった。
「アメリカ,日本,席とれたぞー」
「あぁ…ありがとうロシア」
ロシアの一言で気を取り直し,再び日本に声を掛ける。
「学食って,便利なんてすね」
きつねうどんを前にした日本が,そう言う。
「そうかぁー?」
こちらはピロシキを頬張りながら呑気に声を上げる。てか,学食にそんなのあった?
「我達は前からこれが当たり前だったし,よく分からないアルネ」
炒飯を前にした中国が結論付ける。
「確かに,俺等はこれが当たり前だしなー」
売店で売ってたホットドッグを頬張りながら改めて考えてみる。学食が無いなんて,上手く想像できない。何せ,小学生の頃から昼飯は毎日学食のお世話になってたんだ。
「日本は弁当だったんだろ,どんな感じなんだよ」
「弁当かー,そんなん遠足ぐらいでしか食った記憶ねーな…何か盛られてるし俺は毎日弁当とか無理」
「それはロシア限定アル。我は炒飯だけじゃ物足りないから弁当持参したいアル…」
日本は暫く考え込んで,返答した。
「…昼休みになると皆机をくっつけたり,好きな場所に行ったりしてお弁当を食べてました」
「ふーん,あんま俺等と変わんねーな」
「…そうですか」
日本は先程の様な曇った表情では無いものの,その目は何処か遠くを見つめているようだった。
たまらず,俺は声を掛ける。
「そうだ,日本,校内探検さ」
「校内探検!?」
ロシアが食い付いた。
「えっと,アメリカさんが校舎を案内してくれるみたいで…」
「違う,探検」
「どっちでも良いアル」
「はぁ!?何それ聞いて無い!俺も混ぜろよ!」
「無理。お前にはベラルーシがベッタリじゃん。」
案の定,ロシアながっくりと肩を落とす。
「ロシア,どんまいアル~」
「…中国お前,付いて行こうとか考えるなよ」
「それは我の勝手アル。そもそも付いて行ったら何か不都合な事が?」
「お前が居ると面倒だから」
「…そんな心配しなくても,今日は部活があるから行けないアル」
あぁ,良かった。これで面倒な国が付いてくることは無い。安堵に胸を撫で下ろしていると,いつの間にか話題は変わっていたようだ。
キーンコーンカーンコーン…
早いもので,もう下校のチャイムが鳴っている。
荷物を早めにまとめてしまった俺は,日本に声を掛けた。
「ほら,早く行こうぜ」
「…はい」
校内探検。見慣れた校舎も,何だか今日は違って見える様な気がした。
俺は日本の手を引いて,教室から飛び出した。
_____今回はコロコロ場面が変わるので読みにくかったかもです。がっつり色んな国を出せて楽しかった…。次回は校内探検。
ここまで読んで下さり,ありがとうございました!