テラーノベル
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#挿絵
KEY-STU
26,528
733
#切ない恋
きなこもち
200
「このぬいぐるみ、私達で作ったの!
この子はリノアルで、この子はテト、そしてこの子は……!」
「凄い!2人ともとても上手に作ったね!」
「えへへ…!まぁほとんどエドが作ったけどね…」
「そんなことないよ。✕✕✕がいなかったら飾りの部分が、完成せずに終わってたよ」
「とにかく、2人だったからできたんだよー」
「とにもかくにも…」
「うん!」
「璃時、誕生日おめでとう!」
「ありがと…
…!」
急いでゴミ箱へ向かう、急激な吐き気で目が覚めた。
頭が酷く痛む。苦しさもひどい。昨日のアレか…?
「璃時〜おは…、って大丈夫!?」
「ゲホッゲホッ……!」
あと数日もないというのに、寝込んでしまった。テトは、無理に動かなくていいと言ってくれたが、やると言った以上、どんな状況でも動きたかった。
そうだ、リノアルはどうだろうか?
鞄からリノアルを出し触ってみるが、やはり動かなかった。しかたない、今寝れる気分ではないが、寝るしかない…。
「僕はテトにしようと思うけど、璃時はどの子を選ぶ?」
「えーと、僕は…この子がいいな」
「リノアルね、じゃあ私はこの子ー!」
「そういえば、聞いたことあるような名前…、もしかしてリノス・アルーナ?」
「おぉ!よくわかったね!もしもこんな姿だったら、って思って作ったの!」
時の伝承という本に登場する魔獣から、姿を想像して、名前をとっているようだ。
「じゃあテトって、テルト・トゥルーから?」
「そうそう!…」
強い衝撃と共に目が覚めた。
次の瞬間、背中を強く突き飛ばされた。
壁や床が破壊され、外がみえる。
夜の中、腐った大蛇のような何かが見えた。
「リノ…アル…?」
一瞬だけ、瓦礫の向こうに小さな動く影をみた。
だが、ヤツと共に影は消えた…。
振り返らず必死で走る。
まさか、あいつらもう死んでるんじゃ…!?
いや、不確定を信じてどうする!
大粒の涙が頬をつたう。
悔しさ、虚しさ、恐怖が止まらない。
「正面に死神がいるのなら、後ろには天使がいるって言いたいかい?
運命を変える英雄は、もしかしたら君かもしれないよ」
時の伝承に、たしかこんなセリフがあった。
逃げようとした主人公に、強敵が言った言葉だ。
「お前が逃げた後に残るものは何か」と。
…英雄…。
走る速度が徐々に遅くなり、気づけば怪物に向かっていた。
ふと、左目だけ朝のように明るく見えていることに気づいた。ヤツの姿がはっきり見える。
長い体の先にはしっぽではなく、もう1つ頭があった。
そして、骨のようになったボロボロの翼を2枚もっていた。
怪物は俺に気づくと、鋭い牙を向けガッと距離を詰めた。
体がなぜか宙に浮いていた。
空…?骨…折れた…?血が…。
「あぁぁああっ!!」
どうやら、さっきの攻撃で空に突き飛ばされていたらしく、そのまま地面に叩きつけられた。
「おい、璃時!しっかりしろ!」
「…あぁ!?テトか!エド生きてるか!」
「無事だ、それより逃げ…!」
蛇の胴体が鞭打つように、ドゴンとテトと俺の間に割って入った。間一髪でかわしたが、もし当たっていたらと思うと恐ろしい。
「テト!無事か!」
「こっちは大丈夫だ、早く逃げろ!」
「逃げるのはお前だ!こいつは俺がやる!」
「じゃあヤツに集中しろ!」
集中する間もなく、蛇は翼で右腕を吹き飛ばした。
「ぁあ!!」
「璃時!大丈夫か!」
頭が壊れそうなほどの耳鳴り…、酷く痛む傷…。
なのに、右腕はももう痛みも感じず、出血もすでに止まっていた。
俺は怪物だ。
その辺に落ちていた鉄パイプを握りしめた。
「そっちを頼む!俺はこっちをやる!」
「あぁ、任せろ。ところで武器持ってないだろ」
「鉄パイプがある」
「ふ…、俺もだよ」
テトの方も戦い始めたらしく、地面が大きく揺れている。
鉄パイプで一発ヤツの胴体に殴り込むが、びくともしない。
「チッ…」
家にぶつけるか?いや、あいつが家を壊したんだ、効くわけない。
「は、ははははそうか!」
飛ばされた右腕を取りに戻った。
すると蛇は翼をバタつかせ、大口を開けて襲いかかってきた。
そのせいで、テトの方にいたもう一つの頭まで、半ば引きずられるように襲いかかってきた。
「璃時!やつの弱点は口の中だ!」
確かに蛇の口の中には、テトが投げたであろう鉄パイプが刺さっていた。
自分の持っていた鉄パイプをテトに渡す。
そして、飛ばされた右腕を拾い、大口を開けて迫ってくる蛇の口に滑り込んだ。
腕を体内に差し込み思いっきり切り裂く。
「オラァ!!」
蛇がもがき始めた。すると、もう1つの頭を俺めがけて突っ込ませてきた。
口の中でもう1つの頭と目が合った。
「怪物には怪物だろうがァっ!」
俺は渾身の殴りを叩きつけた。
蛇は暴れ、なんと自分の頭でもう1つの頭を突き破ったのだ。
その衝撃で右腕を持ったまま、また俺は空に突き飛ばされた。
左目が妙な感覚になっていく…。
一瞬、目が何かを見た、腐った卵…。
「…お前は、俺が殺る」
次の瞬間俺は、右腕をヤツに人間とは思えない物凄い勢いで投げ飛ばしていた。
その勢いでヤツの頭は消し飛び、動かない胴体だけが残った。
「やっ…たぁ…」
バタッ
「璃時!」
コメント
1件
うわ…重かった…。でも、すごく引き込まれた。 璃時が「怪物には怪物だろうが」って叫んだところ、心がギュッてなったよ。自分のこと怪物って認めて、それでも立ち向かう強さが切なかった…。 右腕なくなっても戦い続けるところ、怖くて涙出そうだった。散歩さん、最後まで読ませる力がすごい。続き、ちゃんと読むね。