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やはり対応に追われているのか、貴仁さん本人からは何の音沙汰もなく数日が過ぎる中、ニュースを知ったお父さんや菜子さんからは、彼のことを気づかった連絡や話が舞い込んでいた。
「──さやちゃん、貴仁君のところは、大丈夫なのかしらね? 心配だわ……」
お昼休みに、菜子さんから話しかけられて、「ええ……」と、浮かない顔で応える。
彼のことが気になり、デスクの陰でそっとSNSを覗いてみるけれど、既読にはなっているものの、返信などは相変わらずないままだった。
(読んでくれているだけでもいいよね……。私の言葉が彼に届いているだけでも、よかったって思えるもの……)
そう自分に言い聞かせて、
「きっと大丈夫だと信じたいです」
と、菜子さんに笑顔を向けた。
──KOOGAのニュースは、連日のように続いていて、事態は収束するどころかますます煽られていくようだった。
それはまるで今まで何一つミスを犯さないでいた、久我 貴仁という巨大企業の若きビッグネームのつまずきを、マスコミがここぞとばかりに一斉に突付いているようでもあった。
また当のAYAさんは、女性からの支持が高く、ファッションリーダーのような存在になりつつあったことで、降って湧いたようなイメージを壊すスクープが、よけいに受け入れられなかったのかもしれず、世論はヒートアップするばかりだった。
「……どうしてるのかな、貴仁さん」
何度目かに確かめたSNSの画面を見つめ、私は未だに反応のない彼のことをひっそりと思いやった……。