私は今見た光景を必死で理解しようとしていた、でもどういうわけか、思考は現実に追いつかない
彼は私が知っている柚彦君とは風貌が変わっていて
今は彼の全身にエネルギーが満ち、電気を放って周囲に火花が飛び散っている感じだ・・・
まるでスーパーサイヤ人のよう・・・
「いてぇ・・あっ・・・・顎がっ! 」
俊哉が泣きながら、顎を抑えて地面を転がっている
私は信じられない光景を目の当たりにして、どうしていいかわからず、ただ茫然と見ていた
「ああ・・・やっと殴ってくれた、これで正当防衛が主張できる」
ニヤリと笑って、涙を流して転がっている俊哉に彼が近づいていく
「ひぃ~~~~ひぃ~~~」
「すいません~ちょっと足があたっちゃって・・・大丈夫ですかぁ~?あ!ちょっと脈を図りますね 」
そう言うと、柚彦君は俊哉の右腕を捻り上げた
「ギャァァァ~っ! 」
情けない程、俊哉は唾を飛ばして叫び声をあげた、締め上げられている俊哉の腕がギリギリ音を出している
私は空いた口がふさがらなかった
「いやだなぁ~大げさですよあれ?もしかして痛いですか? 」
彼は泣きながら伸びている俊哉の横にしゃがみ込んだ
「い・・・いてぇ!いてぇよ!放してくれ!骨が折れる~~ 」
さっきまでのニコニコ顔が、嘘のように目がぎらつき、一瞬でカッと彼の顔つきが変わる
「鈴ちゃんはもっと痛かったんだよ!うせろ!殺さる前にな!」
これ以上ない恐ろしい声で彼が怒鳴りつけた、足をもつれさせながら、なんとか俊哉は起き上がり、顎を抑えてバタバタと逃げて行った
残った静寂・・・・・・
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