テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
あれから数週間、私は2、3日に一回のペースであの男に呼び出されていた。
いつの間にか連絡先を登録されていて、電話がかかってくる度眉を顰める。
「もしこの事を他の誰かに喋ったら、あなたのあられもない姿を撮った動画を街中にばら撒きます」と言われたので大人しく従っている。そんな陳腐な脅し文句、と思った。しかし万が一その動画が868の人たちに見られたら。そう思うと自分の居場所がなくなる気がして、従う他なかったのだ。
今日という日もまた例外ではなく、一頻り弄ばれたあと深夜に解放された。
(また帰りが遅くなってしまった)
そういえばレダーさんは未だに私の遅帰りを気にしているらしく、「いっそ門限決めちゃおうか?その時間過ぎたら本当にお仕置きってことで」と言っていた。ちなみにお仕置きはされた。めちゃくちゃにくすぐられた。笑いを堪えきれず声を漏らし、レダーさんも楽しそうに笑っていた。その時間だけ、気持ちが軽くなった気がした。
しばらくして、食事の頻度が著しく減った。口に食べ物を入れたときにあの男たちのモノを無理やり口に入れられたときのことを思い出してどうにもダメだった。
「なんか…痩せた?ぐち逸」
「気のせいです」
レダーさんに気づかれるくらいには体型に表れているらしく、不躾に腰を掴まれた。
その瞬間、全身がゾワッと粟立ち、頭の中にあの悪夢のような光景が映し出された。
「やめてくださいっ!」
パシンとレダーさんの手を叩く。
「えっごめん…」
レダーさんはきょとんと困惑しているが、私はそれどころではなく「すみません。失礼します」とだけ言ってその場を後にした。
どうしたらいいと言うのだ。私にはもう分からない。どうして自分がこんな目に遭っているのか、なぜ自分はみすみすあの男たちに従っているのか、何も分からなくなった。忘れたくて仕事に東奔西走する。夜遅くに帰り少しだけ眠って朝早くに仕事に行く。何をしているんだろうか、一体。
いっそ、堕ちてしまえたら楽なのだろうか。
コメント
3件
やばい!!この続きが気になりすぎます!