テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夕方の特産品ショップ Fortress の店内。チバラキVの5人が店じまいをしているところへ、北野、近藤、そしてスーツ姿の中年男性が入って来る。
北野「みなさん、こんな時間にすみません。店を閉めた後、ちょっと相談に乗っていただきたい事がありまして」
倫「それはかまわないけど。そちらの方は?」
中年男性が名刺を差しだす。
「私はこういう者でして。山中と申します」
倫「児童相談所? 県庁の方の人ですか?」
山中「はい、実は西村ミコという女の子の事でお力を借りたいのです。こちらに、その子と面識がある方がいると聞きまして」
沙羅「ミコちゃんの事で? なんで児相が出てくんだよ?」
倫「とにかく話を聞こうじゃないか。玲奈ちゃん、シャッター閉めてくれるかい?」
閉店した店内。パイプ椅子に北野、近藤、山中が座り、メンバー5人は思い思いに空き箱などに腰かけている。
山中「実はミコちゃんに関して、以前近所の方からうちの児相に通報がありまして」
沙羅「虐待されてんのか、あの子」
山中「いえ、虐待かどうかはまだ何とも。ただ、適切な食事をしていない事が時々ある様子で。それで念のため経過観察をする事になりまして」
近藤「これは他言無用に願います。母子家庭なんですよ。家のご主人は三年前に事故で亡くなられていて、お母さんは10年近く専業主婦だったので、仕事に就くのも難しいようなんです。以前、市役所の生活相談に来られたようなんですね。その時の記録が残ってまして」
倫「生活保護とかは?」
近藤「以前それを説明したら、お母さんが激高なさったようなんです。それだけは絶対嫌だと」
沙羅「生活保護もらうと、いろいろ周りから言われるからな」
山中「とは言え、子どもの健康状態に悪影響が出るような生活環境なら、児相が介入する必要があります。とりあえず本人とお母さんに面会したいのですが、私たち児相の人間がいきなり押しかけるわけにもいきませんので」
沙羅「それであたしに協力しろってわけか」
北野「お願いできませんか? チバラキピンクの格好で一緒に行ってもらえれば、その女の子の方とはうまく接触できるかと思いまして」
沙羅「ああ、分かった。あたしもあの子の事はちょっと気になってたんだ」
場面転換
翌日の夕方。スーパーマーケットの入り口近くに見切り品のワゴンが出され、待ち構えていた子どもたち数人が群がる。
ミコはまだ小さいため、サンドイッチなどは先に取られてしまい、残った食パンの耳の袋に手を伸ばすがなかなか届かない。
チバラキピンクのコスチューム姿の沙羅が後ろから袋を取り上げてミコに手渡す。
ミコ「わ! ピンクだ!」
沙羅「正義の味方、チバラキピンクが助けに来たぞ」
ミコはピンクに抱きつき、うれしそうに笑う。
ミコ「わあい! ピンクだ! ほんとのピンクだ!」
沙羅がミコの耳に口を寄せ小声で言う。
沙羅「ピンクの正体を特別に見せてあげる。でも、誰にも秘密だぞ」
ミコ「うん! ヒミツだね」
沙羅がマスクを外し、かがんでミコと向き合う。
沙羅「前にも会った事あるけど、覚えてる?」
ミコ「あ! この前転んだ時のおねえちゃん? おねえちゃんがピンクだったの?」
沙羅「そう、あたしがチバラキピンクだ。でも、悪い奴らが見てるかもしれないから、絶対秘密だぞ」
ミコ「うん! 分かった。誰にも言わない」
沙羅が少し離れた場所で待っている近藤と山中を手招きする。
沙羅「それでねミコちゃん。あそこのおねえさんとおじさんが、ミコちゃんのお母さんに用事があるんだ。家まで連れてってくれないかな? あたしも一緒に行くから」
近藤と山中もかがんでミコに話しかける。
山中「西村ミコちゃんですね? お母さんは今おうちに居る?」
ミコ「うん、いるよ。いつも寝てるから」
近藤「お母さん、病気なの?」
ミコ「ううん、よく分かんない」
沙羅「とにかく一緒におうちに行こう。その袋貸しな。あたしが運んであげる」
場面転換
すぐ近くの団地の一室。ミコが首から紐で下げた鍵を上着の胸元から取り出し、ドアを開ける。ミコが先に中に入り、母親に告げる。
ミコ「お母さん! お客さん来てるよ」
玄関に出て来たミコの母親。顔に精気がなく、見るからにやつれた様子。
ミコの母親「何、この人たち? そちらの人は……もしかしてナントカ戦隊の人? 最近子どもがよく話してるけど」
ミコ「ピンクだよ、チバラキピンク! あのね、ピンクがお買い物手伝いに来てくれたの!」
近藤「突然お邪魔して申し訳ありません。市役所の児童福祉係の者です」
山中が母親に名刺を渡す。母親がそれを見て怯えた表情になる。
ミコの母親「児童相談所? またですか? 私はこの子を虐待なんてしてません」
山中「それは分かっております。今回はあくまで、娘さんの現在の生活状態を確認したいという事でして」
近藤「娘さんは、市役所の子どもの健康診断に来てませんよね? そういった事も含めて、こちらがご相談したいという話でして」
ミコの母親「分かりました。じゃあ、お上がり下さい」