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太宰は自ら戻ってくる気はないだろうな。そう思いながら、太宰が寝ているベッドの横にある小さな椅子に腰かけて眼鏡をいじる。
『もう随分古くなったな。』
14の頃に貰って人生の半分ほどはもう使っている。
レンズの部分は所々に傷がついていて、つるの部分をパカパカと動かしてみるとたまにキキーッと耳障りな音がする。
『ねえ太宰。』
『キミは何も感じないし聞こえていないだろうけどね、』
『僕もキミみたいにこれの何倍も世界が傷がついて見えて、』
…つるを動かしてキキーッという耳にいたい音がなる…
『こんな音が聞こえるような世界だと思ってたんだよ。』
『でも僕は今そう思わないし』
『この先もそう感じることは一切ない』
『太宰に必要なことは“捨てる”ことだ』
太宰が縛り付けられているのは過去の行動と考え、
昔の記憶はいつか覚えられなくなる
過去は過ぎて行く
だから捨てるんだ
自分を縛りつれる薔薇の茎の刺を切って捨てる
そしたら何時は楽になるだろう、
じゃあね
全部聞こえてるよ、
苦しいほど声も仕草も感情も
でもごめんなさい。
もう戻れない
深海に紛れ込んだあたたかくて苦しい空気を吸い込んだ。