テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
11,230
#veeronica
ゆ♨️
352
#azure
ゆ♨️
134
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「おーい、ビルダーマン。調子はどうだい?」
重厚な足音とともに、開発室の入り口から大きな影が差し込んできた。
そこに立っていたのは、大柄な体躯と優しげな目元が印象的なジョン・ドウだった。
彼が足を踏み入れるだけで、心なしか広々とした開発室が少し狭く感じられるほどだ。
「やあ、ジョン。見ての通り、ヴェロニカのコミュニケーションモジュールの最終確認をしているところだよ」
「Sir ビルダーと一緒に、日常会話のインプット作業中でアリマス!( `・ω・´ )」
ビルダーマンの隣で胸を張るヴェロニカを見下ろし、ジョン・ドウは目尻を下げて穏やかに目を細めた。
「ふむ……良い子に育ちそうだな」
ジョン・ドウは大きな体をかがめると、丸太のように太く温かい腕を大きく広げた。
そして、「よしよし」と呟きながら、ビルダーマンとヴェロニカの二人をまとめて大きな手で豪快に包み込むように撫で回した。
「うおっ!? じ、ジョン、急になにを——!?」
「二人とも、いつも根を詰めて働いているからな。よしよし」
大柄なジョンの圧倒的な筋力と体躯によって抱き寄せられた結果、ビルダーマンとヴェロニカは逃げ場を失い、文字通り隙間なく密着する羽目になった。
ガバッ!!
「っ……!?!?」
ビルダーマンの胸元に、ヴェロニカの赤いフーディーの柔らかな質感と、内部フレームから伝わるほんのりとした温もりがダイレクトに飛び込んできた。
目の前には、彼女の頭部である鮮やかなピンク色のテレビ画面。
息を吸えば、新品の電子パーツとどこか甘い合成塗料の匂いが鼻腔をくすぐる。
(近っっっっっっ!!?? 距離感ゼロ!! ゼロっていうかマイナス!!)
ビルダーマンの心臓がバックバクと爆音を立てて暴れ出す。
そして、至近距離でビルダーマンと視線が真向から衝突したヴェロニカ側にも、即座に「異変」が生じた。
キュインキュインキュイン……!!
「えっ……!?」
ヴェロニカのテレビ画面の走査線(ノイズ)が、甲高い謎の音を発しながら激しく明滅し始めたのだ。
ピンク色の画面に走る静線がうねりを上げ、瞬く間に無数の小さなハート模様のノイズへと形を変えて、ピカピカと発光し始める。
「へ、変調音!? ヴェロニカ、システムエラーか!? オーバーヒートか!?」
「カ、カイロの……内部の演算処理が……限界値を突破シテ……!( % _ % )」
背中から伸びるコンセントケーブル(尻尾)は、もはや制御を失って「ババババババ!!」と高速で壁や床を叩きつけ、ビルダーマンの服を掴む指なし手袋の手にはギシギシと力が入っている。
画面いっぱいに広がるハート模様の静線が、彼女の混濁した(?)パニック状態を何より雄弁に物語っていた。
「ん? 二人ともなんだか温かいな。仲が良くて何よりだ」
そんな二人の超密着パニックなど露知らず、ジョン・ドウは「ハハハ」と満足そうに笑うと、二人を包んでいた巨大な手をポンと離した。
「ぐはっ……!」
解放された瞬間に膝から崩れ落ちそうになるビルダーマン。
顔は完全に熟し切ったトマトのように真っ赤で、呼吸を整えるのが精一杯だ。
一方のヴェロニカは、よろよろと壁際まで後退すると、画面にハート模様のノイズを散らしながら「( // ∇ // )」の顔文字を浮かべ、アンテナをぐるぐると回転させていた。
「ジ、ジョン……お前、破壊力が高すぎるんだよ……」
「ん? 何か悪いことしたか?」
首をかしげる無垢で心優しい大男の横で、ビルダーマンとヴェロニカはしばらくの間、お互いの顔を見合わせることすらできず、赤面したまま固まるのだった。