【no side】
獣人にはいくつか特徴がある。
まず、獣人は何時でも、何処でも、動物の姿になる事が出来る。
次に、動物の姿でいれる時間は人それぞれ決まっている。
動物の姿で決まった時間を過ごしていると、その時間が経った時、強制的に人間に一度戻ってしまう。
動物で過ごせる時間は人それぞれで、短い人は数十分、長い人は数時間、その姿で過ごす事が出来る。
そして、人間の身体と動物の身体は一致している。
例えば、動物の姿の時に足に怪我を負った場合、その怪我は人間の身体にも反映され、人間の方の足にも怪我を負う。
最後に、獣人は普通の人間よりも体力を使う。
tn「お前……シャオロンのとこおらんでええんか?」
『ミャゥ…』
tn「お前がええんやったらええけど…」
数日前にシャオロンが拾ってきた黒猫は何故かトントンになついていた。
しかし、トントンだけになついている訳ではない。
sho「とんとぉーん!!!」
そうトントンの名前を大声で呼びながら、シャオロンは書記官室の扉を開ける。
sho「あ~!今日も可愛いな~!!」
シャオロンの手には哺乳瓶に入ったミルクがある。
黒猫はそれを察すると、まだ治っていない足を引きずりながらもシャオロンの傍へと歩み寄った。
sho「ん~!よしよし、ミルク飲もな~」
シャオロンは黒猫を抱きかかえると、黒猫の口元に哺乳瓶を寄せる。
黒猫はかみかみと口の部分を噛みながらも、ミルクを飲み始めた。
sho「あ~可愛い、もうほんま癒しやなぁ…」
tn「やけど、そいつミルクだけで大丈夫なんか?」
そう、黒猫は引きとられてから今まで、ミルク以外のものは何一つ口にしていないのだ。
sho「そろそろ食べてくれなあれやねんけどな…」
シャオロンはそう呟きながら、黒猫にミルクを与える。
その時、いきなり書記官室の部屋が空いた。
扉の方を見ると、そこにはW国の総統、グルッペンが立っている。
グルッペンは異様なほど目を輝かせており、グルッペンの後ろにはきっと、迫力に負けたのであろうエーミールがいた。
tn「なんやグルさん、いつも扉を開ける時はノックをしろとあれほど___」
gr「見てくれ、トン氏!!!!」
グルッペンはトントンの言う事など無視して、机に新聞を広げ始める。
その新聞にはこの前話していたS国の話が載っていた。
sho「S国の記事がどうしたんや?」
シャオロンも気になり、新聞を覗き込んでいる。
tn「「S国の次期総統、実は死亡ではなく脱走!?」……?これがどないしたんや?」
トントンが新聞の見出しを読み、グルッペンへ説明を求める。
gr「そのままだ!!次期総統は死亡したではなく、自ら脱走したという話が出ている。」
sho「それまた、何を根拠に…」
gr「S国の次期総統は実は獣人だったのではないかという話が出ているのだ、そして、S国の国民の一部はその次期総統が走って森の中へ入っていくのを見たという目撃情報がある。」
tn「その証言は何時の話なんや?」
gr「この前、次期総統死亡の記事があっただろう?その前日の目撃情報だそうだ。」
sho「前日の目撃情報があるのに、次の日には死亡…?事故でも起こったんか?」
シャオロンは黒猫を抱きしめながら話をする。
黒猫は何処か、怯えているように見えた。
gr「事故が起こったら軍の救急などに連絡がいくだろう?それをエーミールに調べてもらった!」
tn「まぁ連絡ないとおかしいやろ…」
gr「連絡はなかったそうだ」
sho「って事は…」
gr「そうだ、その事から実はS国の次期総統は生きているのではないかと考える!!!」
「そして、もし生存しているのであれば、俺はそいつをこの軍に引き入れたいんだ!!!」
グルッペンは両手を大きく広げながら語る。
gr「トン氏は知っていると思うが、一度俺は数年前にその次期総統と対面している!!」
「彼はとてもすごい才能の持ち主だ!!!近距離も遠距離も申し分ないほど強い、情報取集もスパイ活動も何もかも出来る!!素人ではできないであろう事も、一瞬でやり遂げてしまう!!!これほど優秀な人材はいない!!!」
「S国が死亡扱いするのなら、俺はそいつを引き入れたい!!是非この軍に入ってもらいたい!!!」
グルッペンはそう大声を出す。
その大声に釣られて、最初は数人しかいなかった幹部は、いつの間にか全員が書記官室に集まる事態となった……。
コメント
6件
あ、え、想像楽しーですね、これ、!!? すごい続き楽しみです!
見るの遅れました💦