テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
💚視点
✱.˚‧º‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧º·˚.✱
佐久間の捜索願を出すのに、連絡が取れないと知らされたあの日から約1ヶ月がかかった
内々で捜索を続けていたが行方は掴めず、メンバーの中で一番最初に根を上げたのは康二だ
自他共に認めるバラエティ担当
ボケもツッコミもこなし笑いをとりにいくだけに、仲間の行方もその安否も分からない状況の中、笑いを取りにいくという行為自体が負担になっていた
でも、康二だけじゃない
皆で集まれる時も、あれだけ賑やかだった楽屋が静まり返り、収録が終わればすぐに帰る
何も知らない出演者たちに何事もなく振る舞うのは思いの外精神的にきた
佐久間は体調不良という事になっていたから余計にだ
「佐久間くん大丈夫?」なんて声をかけられる機会も多くて
「まだ調子が戻らないようで」なんて嘘を吐かなければならない
翔太は終始ぴりぴりし、涼太はそんな翔太を静かに見守っている
照もふっかも深刻そうな真顔でいる事が増えた
ラウールも軽口が減り、楽屋にいる間はスマホを見ている事が多い
めめもラウール寄りで静かにスマホを見ているか、台本に目を通しているかだ
全員が限界を感じていた
佐久間が消えてから心から笑える日などなかった
佐久間の自宅を捜索した日
俺は佐久間のスマホのロックが解除出来た事は言わなかった
佐久間の秘密を知って、言えなくなった
捜索願が遅くなったのにも理由がある
大事になるのを避けたい事務所の意向もあるが、捜索願の提出は誰にでも出せるものではない
大事にしたくない事務所は出ししぶり、何故か佐久間の家族からも届が出されない
事務所や俺たちメンバーの事を考えてか、とも思ったが――――
ふとふっかの言葉を思い出す
佐久間の自宅を捜索したあの日の帰り、ふっかと2人になる機会があった
何か手掛かりはないものかと、めめと各部屋をまわったふっか
特に何かがあった訳ではないと言うが微妙な顔していたのだ
「いや、俺さ、佐久間やなべとよく買い物行くじゃん
あいつ、買った物はいちいち報告にくるし、大抵のもん把握してたんだけど…」
買い物仲間の3人
買い物の相談や報告などもマメにやりとりするらしい
「どぉ?」のドヤ顔で写真を送る佐久間が容易に想像出来て、ちょっと笑える
「なんかさ、全部あんだよね
最近買ったもんや着てたもんが」
「え…」
「3日前の仕事帰りに買ったとかなら知らないけどさ
ソファにかかってたダウンジャケットだって収録ん時に着てきたヤツじゃん?
真冬に上着なしってありえる?」
どう返して良いか分からず黙ると
「あとさ、何だろう?こう、違和感みたいなもんがあるって言うか」
「何?そういうの大事だよ」
「佐久間のお母さんさ、何か隠してね?
息子いなくなってたった1日とは言え、その日あった仕事全部ぶっちしてる訳じゃん
もうちょっと焦るとか…なんだろ、こーさぁあるじゃん?感じられなくて…何か知ってんのかなって思えてさ」
直美さんも佐久間の行方は分からないと言っていた
事務所から連絡があり、家族にも連絡を取ったがわからないと
暇を見つけては姪っ子たちに会いに行き、良きオジさんをしていた佐久間
家族間でのトラブルもなく、佐久間家は仲の良いイメージがある
確かに冷静には見えた
今思えば「迷惑かけて」という言葉も佐久間の方に非があると思っているように思う
進展しないままに時間が過ぎて
それぞれが一緒にいる事でグループ全体の空気がおかしくなっていく
仲が良かっただけに一緒にいれば佐久間をどうしても思い出すから
最悪の結末が何度も胸を過った
そして
バラエティの収録前に康二が泣き崩れた
「もう無理や」と
「さっくんに会いたい」と
子供みたいに泣く康二を抱き締めて、背中を軽く叩きながら、グループとしての限界を感じ始めていた
この状況が耐えきれなくて、俺は一人、直美さんの元を尋ねた
佐久間の捜索願を出して下さいとお願いをしに
✱.˚‧º‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧º·˚.✱
阿部ちゃん動き出す