金曜日。神代先輩の家に泊まりに行くので、一応本やらスマホやらを鞄に詰める。
「あれ?お兄ちゃんどうしたの?」
「あぁ、ルビーか。ノックくらいしろ」
「それより!誰かのとこに泊まりに行くの?」
「神代先輩のところにな」
「知ってるー!あれ?いつの間にそんなに仲良くなったの?」
「この前な。」
「へー、」
さっさと荷物を詰めて家を出る。
「アクアくん♪待っていたよ!」
「なんで俺の家知ってるんだよ」
「え?GPS」
「えぇ……」
「ガチで引くの辞めてくれる?」
「GPSはちょっと」
「ほら行くよ!!!!」(キレ気味)
〜〜
「……きったな」
「いやぁ、昨日はつい興が乗ってしまってね」
興が乗ったとかそういうレベルじゃない。もはや研究者の研究レベルだ。
隅に機械が避けられてるので少しは足の踏み場があるが、避けなかったら本当に通れないくらいには機械がありすぎる。おもちゃ箱のようだ。
「で、なんの用で呼んだんですか」
「…アクアくん」
「はい?」
「僕と付き合ってください」
「…はい!?」
「仮でいいんだよ!仮でいいから、恋人作らなきゃ寧々に怒られる!!!」
「…はぁ、」
突然の展開過ぎる。
いきなり『幼馴染に怒られるから仮でいいので付き合って下さい』なんて聞いた事がない。というかあるはずがない。
断る理由も無いので別に了承してもいい。
「…べつに良いですよ」
「本当!?」
「ただし。キス以上の事はしないって約束してください」
「分かった!キス以上だね!これからよろしく!アクアくんっ!」
ぎゅーっ!と勢いよく飛び付いてハグをしてくる。
172cmが180cmを受け止められる訳もなく。そのまま後ろに倒れて、押し倒されてるかのような体制になってしまった。
「…神代先輩」
「ごめんなさい」
ぺし、と軽く先輩の頬を叩いてから起き上がる。
「本当に気を付けてくださいよ、」
「はーい」
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