バスのステップを下り、地に足を付けると、篭もった空気が一瞬で解き放たれるのを感じた。
は、と短くも満ち足りた吐息を零し、意図せず縮こまっていた身体を伸ばすように腕を広げる。と、その肩に、軽く手が乗せられた。
導かれるように振り返ると、総一朗が呼ぶ。
「瑞希」
「うん?」
「さっきのところで、土産は粗方、選べたか?」
質問の意味を察し、腕を戻す。
さっきのところ、と彼が言った散歩道での自由時間を思い起こす。
想定以上に坂道が多く、運動不足が祟る幾人かが悲鳴を上げていたが、昔懐かしい趣の店が立ち並ぶ界隈では、楽しそうに家族や友人への土産を選ぶ姿が見えた。
それは私も同じで、随分と素敵な贈り物を探すことができたように思う。
「うん、他部署も取引先の分も大丈夫。あとは、プライベートなところだけ。……店長の分どうしよっか?」
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