テラーノベル
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第8話
〖ひとまずお茶でも飲む?〗
――博麗神社。
境内に微妙な沈黙が流れていた。
同じ顔。
同じ声。
しかし、少しだけ違う雰囲気。
そんな妙な空気の中、オリジナルの霊夢がぽつりと言った。
霊夢「……ひとまず、お茶でも飲む?」
亜霊夢「え?」
魔理沙「お?」
霊夢「立ち話もなんだし」
霊夢「座りなさいよ」
魔理沙は思わず目を丸くした。
魔理沙「おいおい、珍しいな」
霊夢「何が?」
魔理沙「いつもケチな霊夢が、人にお茶を出すなんて」
霊夢「失礼ね」
魔理沙「賽銭入れないとお茶も出さない奴だったのに」
霊夢「誰がそこまで守銭奴よ」
魔理沙「事実だぜ」
霊夢「うるさい」
亜霊夢「ふふっ……」
魔理沙「お、笑った」
亜霊夢「え?」
魔理沙「さっきから固かった顔が少し緩んだぜ」
亜霊夢「そうかしら」
霊夢「まあ、笑えるなら笑っときなさい」
霊夢「せっかく幻想郷に来たんだし」
亜霊夢「……」
その言葉に。
亜霊夢は少しだけ驚いた。
自分なら。
同じ状況で、こんなことを言えるだろうか。
少なくとも。
親友を失ってからの自分には、無理だった。
三人は縁側に腰掛ける。
霊夢がお茶を注ぎ。
魔理沙が勝手に煎餅を取り出し。
そして。
亜霊夢は、その光景を静かに眺めていた。
魔理沙「そういや、別世界の私はどんな感じなんだ?」
亜霊夢「……」
ピタリ。
亜霊夢の手が止まる。
霊夢「魔理沙」
魔理沙「あ」
しまった。
そんな顔をした。
しかし。
亜霊夢は小さく笑った。
亜霊夢「気にしないで」
魔理沙「いや、悪い」
亜霊夢「大丈夫」
そう言いながらも。
握る湯呑みが、少しだけ震えていた。
それを見た霊夢は。
何も聞かなかった。
ただ。
霊夢「お茶、冷めるわよ」
そうだけ言って、自分の湯呑みに口をつける。
亜霊夢「……ありがとう」
霊夢「何が?」
亜霊夢「なんでもない」
魔理沙「?」
訳が分からない魔理沙だけが首を傾げる。
そして。
三人の笑い声が。
久しく静かだった博麗神社に、小さく響いた。
――それは。
亜霊夢が二年間忘れていた、
親友と過ごす、何気ない日常の音だった。
コメント
1件
あ゛〜〜〜〜〜😭💕💕💕 もうね、お茶飲むだけのシーンなのに沁みた……!! 同じ顔でちょっと違う雰囲気の亜霊夢が震える手隠そうとしてるところとか、霊夢が「何も聞かない」って優しさで受け止めてるところとか、魔理沙の明るさがいいスパイスになってて…「親友との何気ない日常」ってこの一言にすべて詰まってるよ😢💖 続きめっちゃ気になる!